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福岡が「コア投資家のパラダイス」と呼ばれる理由

国内不動産投資マーケットとして福岡の存在感が高まっている。「天神ビッグバン」と呼ばれる大規模再開発の影響のみならず、市場ファンダメンタルズの堅調さを国内外の投資家は高く評価しているようだ。

7月 25, 2018

天神エリア随一の商業施設が取引成立

「天神ビッグバン」で盛り上がる福岡・天神エリアで大型取引が成立した。JLLは株式会社ダイショウの専任アドバイザーとして、同社が保有する福岡市天神の商業施設3棟「ミーナ天神」、「ノース天神」、「E&Yビル」の売却を支援した。買主は、福岡県久留米市に本社を構える福岡スタンダード石油株式会社。今年6月29日に取引は完了しており、売却総額は約260億円。昭和40年代開業と築年を重ねているが、効果的にリニューアルを施し、天神エリアでも随一の地域密着型の商業施設として認知されている。

立地場所の渡辺通りと昭和通りが交差する「天神橋口」交差点北東角は、福岡市が推進する都市活性化プロジェクト「天神ビッグバン」対象エリアの中心部に位置していることから、

ビル容積率緩和等による周辺エリアの更なる発展の一端を担うことが期待されており、買主は将来的な建替えも視野に入れているそうだ。天神ビッグバンでの建替えは現行容積率1000%から1200%への割り増しが受けられる。

市場のファンダメンタルズが高評価- 福岡の不動産投資マーケット

「天神ビッグバン」による建替えを背景に、今回の取引が成立したかのような印象を受けるが、福岡の取引マーケットの盛り上がりは一過性のものではない。今回の取引支援を担当したJLL日本 キャピタルマーケット事業部 小澤崇宏は「取引を支援した商業施設は現行の容積率で十分採算性が見込める建替えが可能。長期保有でも一定程度の利回りは見込める」と指摘。天神ビッグバンはあくまでも副次的なメリットであり、小澤は「九州全域から博多に人口流入するなど、市場のファンダメンタルズがしっかりしているため、国内外の投資家が福岡に殺到している」と述べている。

「コア投資家にとって福岡はパラダイス」――こう評するのはJLL日本 キャピタルマーケット事業部 内藤康二だ。福岡市の人口増加率は政令指定都市の中で1位(2010年10月-2015年10月)となり、10代・20代の若者の割合が最も高い都市でもある。加えて、福岡県の平均消費性向(可処分所得に占める消費割合)は79.8で全国7位。購買力は大都市圏の中でも強いことが知られており、訪日外国人観光客数も堅調に伸びている。これらの要因が重なり、リテールへ投資が集まっている。内藤は「ある外資系ファンドが天神地区の一等地に商業ビルを保有している。通常、運用期間後には売却するのが一般的だが、本物件は売却する意思がないという。そういった意味では福岡は長期保有でインカムゲインを狙う投資マーケットといえるだろう」と指摘している。

一方、リテールに負けず劣らずオフィスも活況を呈している。JLLの調査では2018年第1四半期末時点の福岡の優良オフィス(ストック上位3%)の空室率は2.0%。賃料相場は1坪当たり賃料18,001円に上昇。需給がタイトになり賃料上昇機運が高まる「貸主優位」のマーケットとなっている。加えて、新築ビルの成約率も絶好調だ。内藤の独自調査では、2018年-2021年に竣工予定の福岡市内・新築オフィスビルは8棟が確認されるが、いずれも満室かほぼ満床。まとまった床を確保できるのは、まだ募集を開始していない2021年竣工予定のオフィスビル「天神ビジネスセンタープロジェクト」しか見当たらない。

新規賃料相場の推移にも勢いが感じられる。内藤は「日本ビルファンド投資法人が保有するオフィスビル『博多祇園M-SQUARE』(2009年6月竣工、地上10階、基準階面積542坪)の2011年から2017年までの年間平均契約賃料はわずか1.7%。同物件の現行賃料が1坪あたり14,000円程度と推測される中、現在の新規成約賃料は1坪当たり20,000円超。したがって既存オフィスではテナント入れ替えによる賃料の大幅なアップサイドが見込める。2011年-2017年まで建物規模が近い福岡のオフィスビルと東京Bグレードオフィスビルのキャップレートを比較したが福岡のほうが総じて1%ほど高く、投資妙味がある」と、福岡オフィスマーケットの力強さ・魅力について説明する。

天神ビッグバンで更なる飛躍を遂げる- 福岡の不動産投資マーケット

福岡は航空法の高さ制限などの影響で建替えが進まず、築年が浅い投資適格物件自体は少ないが、今後は「天神ビッグバン」が付与する容積ボーナスの影響で既存ビルの建替えが増加すると予想される。小澤は「開発を主導するのは地元有力企業や国内デベロッパーが中心だが、完成後の区分所有案件等が売買マーケットに出てくる可能性は考えられる」と述べており、現時点ではコア投資家にとっての「パラダイス」だが、天神ビッグバンによる全方位的なニーズに応えられる国際的な投資マーケットへ飛躍を遂げるのではないだろうか。

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