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アフターコロナの鍵を握る不動産テック活用

不動産テック市場はコロナ禍で急成長している。不動産業界ではIT化への遅れが課題となっていたが、VR・ARを用いた物件内見、IoTを活用したスマートオフィス、業務支援のツール等のサービスにより不動産テックの存在感が大きくなっている。

2021年 09月 14日
注目度高まる不動産テック

不動産テックは分野によって様々なツールがあり、種類や目的、効果も多岐に渡る。今まで不可能とされたデータの可視化、不要なオフィススペースの最適化、IoTセンサーによって自動的に空調や照明を調整し、省エネに寄与する等、テクノロジーがもたらす効果の範囲は大きくなっており、企業戦略として積極的に活用していくことが求められている。2021年7月に一般社団法人不動産テック協会が発表した「不動産テックカオスマップ第7版」によると、2020年に比べ94の不動産テックサービスが増加したという。その中でも、業務支援系のツールサービスの増加が続いていることや、AR・VRのサービスが再び増加、SDGsやESG、BCPに関連したサービスが新たに出てきていることが不動産テック市場の特徴として挙げられている。オフィスのデジタル化ニーズに対応するため、不動産業界での専門知識を組み合わせたIWMSソリューションも進化し続けている。現状課題をテクノロジー活用で解決するという需要はコロナ禍で急増しており、今後もその勢いが増すと見られる。

世界的に導入が加速する不動産テック市場

喫緊の課題となる環境問題への取り組みを加速させるには不動産テックの早急な導入が不可欠であり、テクノロジーが担う未来の役割が大きい

不動産テックの活用は、世界的にも盛んになってきている。JLLとラサール・インベストメント・マネージメントによる、世界の不動産市場の透明度を数値化した独自の調査レポートでは、不動産テックの採用度を示す「不動産テック採用スコアランキング」でフランス、オランダ、韓国が上位3位にランクイン。アジア太平洋地域では高所得市場の韓国、シンガポールが上位10位という結果となっている。データをもとにしたインサイトでは、喫緊の課題となる環境問題への取り組みを加速させるには不動産テックの早急な導入が不可欠だと述べられており、テクノロジーが担う未来の役割が大きいことがこのインサイトから窺える。日本の不動産テック採用スコアは35位。他国に比べ遅れを取っていることは事実だが、コロナ禍をきっかけに今後市場が成長していくことは明快だろう。

出所:JLL、ラサール インベストメント マネージメント

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アフターコロナに向けた不動産テック活用のポイント
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不動産テック活用を評価する意図に、環境に配慮し持続可能な世界を維持する要素が含まれるということへの本質的な理解が、今後さらに重要となってくる

不動産テックの利害関係者の理解

テクノロジーの採用は、様々な関係者が関わる機会となるため、それぞれの視点における目的や効果を把握することが重要となる。例として、土地所有者や投資家は不動産の新しい価値の最適化や管理プロセスの効率化を重視する傾向にある一方、テナントはオフィスや物流等、不動産テックを用いて施設内の快適性や業務効率性を重視する。また、ビジターや顧客は、テクノロジーの活用で建物内の体験をいかに向上できるかという点、ビルの運営会社は施設管理の効率化や最適化、業務支援等を目的としている等、様々な視点での目的や効果が存在する。多種多様な目的のために活用される不動産テックは、客観的な視点で関係者のニーズを理解することがポイントとなる。

テクノロジーを活用したサステナビリティへの取り組み

不動産テック採用が加速する要因の1つとして、サステナビリティの要素が深く関わっている。ビルの省エネを目的とした不動産テックの活用等の取り組みは、環境に配慮したサステナビリティに寄与するからこそ意義は大きい。不動産テック領域で今後拡大が期待されるのはサステナビリティ系であり、持続可能な社会を作るという本質的な意図を理解し、積極的に採用する企業が増えてくるだろう。

今後の不動産テックと課題

建築環境でのテクノロジーの活用は収集される情報の透明性を示し信頼を構築することが重要で、プライバシーとバランスを程良く保っていくことが大きな課題

不動産テックの進化により、今まで入手・可視化できなかった情報の透明化が可能となる一方で、プライバシーの侵害や国家安全保障上の脅威となる可能性も出てくる。建築環境でのテクノロジーの活用は収集される情報の透明性を示し信頼を構築することが重要である。そのためにはプライバシーとバランスを程良く保っていくことが今後の大きな課題となってくるだろう。

不動産テックの進化の鍵を握るのは、扱う側のヒトに委ねられている。不動産テックにより様々な革新が生まれているからこそ、新しいアプローチを目指し、挑戦していく意欲が不可欠となる。先進国の中でも遅れを取っている日本の不動産テックが、今後さらに革新を進め、成長することに期待したい。

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