未来型のワークプレイスへ:テック系オフィススペースのトレンド
テック企業は進化するハイブリッドワーク戦略で柔軟性、生産性、効率性のバランスをとる
テック企業は経済のジェットコースターに乗っている従業員数の増加やオフィススペースの拡大という上り坂を登り、収益の停滞や金利の上昇という厳しい急旋回を乗り越えてきた。そして今、テクノロジー業界のリーダーたちは、将来的な不意打ちや下降を避けるための戦略を練っている。
テクノロジー・スペース・レポートでは、テック業界の変化を明らかにし、企業がどのようにワークプレイス戦略を進化させ、ビジネスの優先順位や新しい働き方に合わせてスペースを効果的に適応させているかを考察する。
優先順位の変化:テック系リーダーにとって最優先事項とは
調査によると、テクノロジー企業にとっての優先事項のトップ3は、事業費の削減、持続可能性の向上、ポートフォリオの最適化である。これらの最優先課題に対し、企業は以下のような取り組みをしている。
大手テック企業のワークプレイス戦略や出勤方針は依然として多様であるが、オフィス出勤やハイブリッド戦略への移行は確実に進んでおり、テック企業の79%は少なくとも部分的な出社を奨励している。
チームを再び集めることを望んでいるのは、トップだけではない。リモートワーカーの半数近くが、オフィス内でのコラボレーションや職場文化がもたらすつながりが恋しいと答えている。生産性を測るのは難しいが、人が集まる環境では急上昇する場合がある。特に、「we(みんな)」のスペースと「me(自分)」のスペースのバランスがとれていればなおさらだ。
では、何がテック系社員の出社を妨げているのか。オフィス出勤に対する反論として最もよく挙げられるのは通勤だが、これに対してはテック企業の43%が通勤手当の支給を検討中、またはすでに支給している。また、オフィスにおける効率性を高め、居心地の良いものにしようと、オフィス内のテクノロジーや設備を強化している。
オフィススペースの変化:ワークプレイスの開発モード
テックセクターにおいて新規リースは鈍化しており、他の業界と同様、更新を選択する企業が多くなっている。テック企業の多くは、進化するハイブリッド戦略やリモート重視の戦略に最適なワークスペースのあり方をまだ探っている―ポートフォリオの半分以上が新しい働き方に最適化されていると回答した企業は全体の54%にとどまる。
ハイブリッド戦略へのワークプレイスの最適化には、ポイントとなる3つの領域でバランスがとれている必要がある。
オフィスでは、割り当てられたデスクと閉鎖的なミーティングスペースから、より多くのコラボレーションスペース、共有の座席、近代的なフロアプランへの移行が進んでいる。
2022年から23年にかけてテック系のクライアントはポートフォリオを縮小する傾向にあったが、今後3~5年の不動産戦略についてはテック系リーダーたちの間でも見解が分かれており、36%がポートフォリオを拡大すると回答している。この背景には、大幅に削減しすぎたことで、新たな成長と社員のオフィス復帰に対応するべく再びスペースを拡張する必要が出てきたこともある。また、ハイブリッドワークやコラボレーショ ンを促進するためにスペースを拡張することも、専用デスクと比較して全体的なフットプリントを増加させることになる。
成果の変化:生産性と成功のための計画
生産性を測ることを目指すべきであるように思われるが、測定が難しいものでもある。成功するチーム、ビジネス、そしてスペースでさえも、一面的に測れるものではない。成功しているテック企業には、次のような特徴がある。
- 競合するビジネス上の優先事項の間で独自のバランスを見つけている
- 経験豊富なチー ムを編成し、未来の働き方のためにスペースを再構築している
- ビジネスと社員の成功を定義し、評価し、洗練させている
昨今のテック企業が掲げる未来のワークプレイスとはどんなものでしょうか?