データセンターの未来をつくるESGへの挑戦
投資家や企業の意向を受けて、アジア太平洋地域のデータセンター市場においてESG対応は喫緊の課題となりつつあります。JLLは、アジア太平洋地域のデータセンター管理者500名超を対象に調査を実施。データセンター業界におけるESG戦略の最新動向について分析しました。
コロナ禍によってオンライン会議やペーパーレス化、電子商取引やモバイル決済などのデジタルサービスの普及拡大、ソーシャルメディアやビデオストリーミングなどのクラウドプラットフォームの増加、人工知能や機械学習などのテクノロジーの進展など、これまで以上にIT需要が急拡大している。これらのデジタルサービスを支える社会的インフラであるデータセンターは今後の市場拡大が確実視されている。
一方、データセンターの需要が拡大する半面、データセンターを運用する管理者にとって、投資家や企業が重要視している「環境・社会・ガバナンス(ESG)」にいかに対応していくかである。
例えば、多数のデジタル機器を有し、常時空調を稼働させる必要があるデータセンターの電力消費量は膨大で、世界全体の温室効果ガス排出量の3-4%を占めるとされ、さらにデータセンターのエネルギー消費量は4年ごとに倍増ペースで拡大している。そのため、主要なCO2排出源であるエンボディドカーボン(建設時の製造・運搬・解体に伴うCO2排出量)の削減が必要不可欠とされている。
JLL日本が発表した「データセンター脱炭素化の行方」によると、すでにアジア太平洋地域のシンガポール、上海、北京などの一部の国・都市ではデータセンターに関する環境規制が実施されているという。
アジア太平洋地域13カ国のデータセンター管理者500名超(一般企業のデータセンター管理者70%、データセンターサービス事業者30%)を対象としたJLLの調査によると、今後2年間でデータセンターが解決すべき最優先課題として「サステナビリティと社会的責任の追求」をあげている。その他の調査結果のサマリーは以下の通り。
本レポートでは、データセンターのESG対応の現状から今後の行方まで深く掘り下げ、下データセンター管理者の洞察を明らかにした。データセンターにおけるESG対応は、最終的には投資家と事業者の双方において、新規開発、投資の優先順位、および運用に関する重要な方針決定を左右することになるだろう。