ニュースリリース

【ご参考リリース】JLL オフィス プロパティ クロック 2023年第2四半期

東京、大阪、福岡ともに「賃料下落」フェーズ

2023年 09月 05日

東京 2023年9月5日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント: クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2023年第2四半期」を発表しました。

東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「2023年4-6月期の実質GDP成長率は前期比6.0%増(季節調整済み年率換算)となりました。個人消費がやや減退したものの(同2.1%減)、輸出が好調(同13.6%増)、設備投資も緩やかな増加(同0.1%増)となり企業の投資が積極化していることが示されました。また、6月の日銀短観では、大企業製造業の景況感は7四半期ぶり、非製造業は5期連続の改善となりました。

こうした状況下、2023年第2四半期のオフィス プロパティ クロックをみると、東京、大阪、福岡のAグレードオフィス市場は押し並べて賃料下落フェーズに位置しています。3市場全てにおいて、需要は堅調であるものの、今後数年の供給予定が潤沢であることを背景に、空室率は、新規供給が続く東京と福岡で上昇、2024年まで供給予定を待つ大阪で横ばいとなり、賃料は総じて緩やかな下落傾向が観測されています。今後は、新規供給の優良なオフィススペースが都市の魅力を高めるとともに需要を喚起し、賃貸市場の活発化と拡大が継続することが期待されます。

グローバル不動産投資市場は、投資総額が継続的に大幅に減少しています。2023年第2四半期の投資額は前年比54%減少(米ドル建て)となり上半期の総額は同54%減少(米ドル建て)と過去10年最低水準を記録しました。背景には、金利上昇に伴う資金調達コスト増大が続く米国・欧州における投資活動の減速が挙げられます(上半期にそれぞれ前年比59%、55%の減少)。

対照的に、日本における投資は依然好調で、2023年第2四半期の投資総額は前年比42%の増加(円建て)となり、これにより上半期の投資総額は同52%の増加(円建て)となりました。主に投資家の投資意欲の強さ、安定した金融市場、良好な資金調達環境を反映しており、グローバル市場との比較でも相対的な日本市場の魅力が一層増しています。今後も着実な景気回復と低金利状況の継続が国内外の投資家を惹きつけ、さらに、各セクターにおけるパイプラインも積みあがっていることから、日本の不動産投資市場は引き続き活況を呈すると見込まれます。ただし、伝統的なセクター、特にオフィスに対するグローバル画一の消極的投資判断がクロスボーダー投資総額を抑制する可能性があります。

グローバルオフィス市場では、景気動向の不透明な見通しを背景に、テナントは慎重姿勢を維持し、意思決定プロセスが長期化したため、大規模案件が限定的となっています。2023年第2四半期にオフィスの新規賃貸借面積は前期比7%の増加となったものの、第1四半期は典型的に1年で最も不活発な四半期であり、前年同期比は14%の減少、コロナ禍前の第2四半期平均比では27%の減少となりました。2023年上半期のオフィスの新規賃貸借面積を地域別にみると、アジア太平洋地域は前年比4%の減少、欧州は同25%の減少、米国は同15%の減少とそれぞれ回復途上といえます。コロナ禍を経てリモートワークからの回復が地域により異なり、オフィス復帰率が依然として低い米国・欧州における賃貸活動は今後も停滞する状況が続くものと見込まれます。

グローバルロジスティクス市場では、アジア太平洋地域における新規供給が新規賃貸借面積を下支えしたものの、欧州と北米では経済の減速と限定的な空室を背景に賃貸借活動は鈍化しました。賃料はグローバルベースで上昇しているものの、上昇ペースは過去2年のピーク時との比較で減速しており、米国で前年比18.4%の上昇、欧州で同10.8%の上昇、アジア太平洋地域で同6.4%の上昇となっています。

グローバルリテール市場では、リテーラーによるハイストリートへの出店需要が欧州とアジア太平洋地域で地域により一定程度のばらつきは見られたものの増大しました。米国においてもネットアブゾープション(総賃貸借面積の変動)はプラスの水準を維持したものの、直近数ヵ月のショッピングモール需要は軟化しています。消費者の慎重な購買姿勢を受けて近隣商業にシフトするリテーラーもいるなか、大規模な出店計画を発表したリテーラーが幅広くみられました。」

※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速②賃料下落の減速③賃料上昇の加速④賃料上昇の減速というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。

JLL Aグレードオフィス定義


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約105,000名を擁し、2022年の売上高は209億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com