ニュースリリース

【参考資料】JLL オフィス プロパティ クロック 2023年第1四半期

東京、大阪、福岡ともに、引き続き「賃料下落」フェーズ

2023年 06月 05日

東京 2023年6月5日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント: クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2023年第1四半期」を発表しました。

東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「2023年第1四半期の実質GDP成長率は前期比1.6%増(季節調整済み年率換算)となり、3四半期ぶりのプラス成長となりました。企業の設備投資は同3.8%増となり、2四半期ぶりの増加となっています。一方で、3月の業況判断をみると、大企業製造業は5期連続で悪化しプラス1ポイントまで低下、大企業非製造業は4期連続で改善し20ポイントへ上昇しています。

このような経済状況下、2023年第1四半期の東京・大阪・福岡Aグレードオフィス市場では、押し並べて新規供給がみられたことで、空室率は3市場全てで上昇したものの、賃料は市場規模等を反映して東京と大阪で小幅下落、福岡で上昇となりました。今後は市場個別の供給予定サイクルを反映して、賃料は下押し圧力が加えられる見通しですが、新規供給はコロナ禍で蓄積された潜在需要を喚起し、賃貸市場の活性化に資するものであるとともに、中長期的にも都市の魅力を向上させ、その競争力を増進させるものと期待されます。

グローバル不動産投資では、金利上昇、物価上昇、銀行破綻等による意思決定の長期化を背景に、2023年第1四半期の商業用不動産投資総額が前年比56%の減少(米ドルベース)となりました。アメリカ大陸は同61%の減少、欧州・中東・北アフリカ地域は同58%の減少、アジア太平洋地域は同30%の減少となり、3地域すべてで投資活動が大幅に減退しました。

対照的に、日本における投資総額は1.2兆円弱に到達し、前年比61%の増加(日本円ベース)となりました。他国に遅れてコロナ禍からの経済回復が続くなか、世界的にも稀な低金利状況が継続する日本不動産市場はグローバル市場と一線を画しており、不動産投資活動を促進させています。セクター別投資割合をみると、オフィスが50%を占め(グローバルでは23%)トップシェアを維持しています。背景には企業による本社ビル売却やJ-REITによる活発な取得活動が挙げられますが、米国を中心に主要先進国ではオフィス出社率が依然として低く空室率も10-20%台となっている状況下、比較的低い空室率を維持し、かつ出社率も回復している日本のオフィスセクターの底堅さを物語っていると考えられます。

日本の不動産投資市場は、今後も継続する経済回復並びに安定的な資金調達環境が投資意欲旺盛な国内外の投資家を惹きつけ、活況を呈する見通しです。また、直近の為替相場は海外投資家に対して一定程度好影響を与える材料となるでしょう。ただし、グローバル経済の不確実性が金融機関や投資家の意思決定に与える影響を注視する必要があります。

グローバルオフィス市場では、景気の逆風と不確実性の高まりによる影響がより顕著になる中で、テナントの慎重姿勢が強まり、意思決定の長期化や大規模移転計画の遅延につながりました。2023年第1四半期の新規賃貸借面積は前年比18%の減少となりました。新規賃貸借面積は3地域すべてで減少、欧州が最も大幅な減少を記録し(前年比24% 減少)、米国(同19% 減少)、アジア太平洋地域(同9% 減少)が続きました。

グローバルロジスティクス市場では、多くの市場が冷え込み、米国と欧州ではテナントによる意思決定までの期間が長期化し、その影響から賃貸借活動が減速しました。しかし、市場のファンダメンタルズは全体として堅調に推移しています。一部の市場でみられる潤沢な供給予定と新規供給にもかかわらず、空室率は低い水準で推移しています。新規供給を受けて空室率が若干上昇したものの、2023年第1四半期の賃料は米国で前年比20.6%の上昇、欧州で同12.2%の上昇、アジア太平洋地域で同7.5%の上昇となり、上昇を続けました。

グローバルリテール市場では、主要市場の多くで需要が年初に低迷した後、2月、3月に改善しました。米国でネットアブゾープションは減少したもののプラスを維持し、アジア太平洋地域では賃貸借活動は堅調に推移、欧州の一部では需要は増加しました。プライムリテール市場の一部で発生した空室のうち、比較的大型で視認性が高い物件は、資本力のあるリテーラーが賃借して実店舗の統合を行っています」

※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約105,000名を擁し、2022年の売上高は209億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com