ニュースリリース

【参考資料】JLL オフィス プロパティ クロック 2022年第2四半期

東京、大阪、福岡ともに、引き続き「賃料下落」フェーズ

2022年 08月 26日

東京 2022年8月26日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント:クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2022年第2四半期」を発表しました。

東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「大企業の景況感は、原材料価格上昇と供給制約等を背景に製造業が若干悪化したものの、経済活動の正常化等を背景に非製造業が回復したことで全体としては横ばいとなりました。雇用情勢についても完全失業率が安定的に推移するなか、2022年第2四半期のGDPは前期比年率2.2%の成長となりました。

東京、大阪、福岡のAグレードオフィスのプロパティクロックは、賃料下落のフェーズに位置しています。今後東京、大阪、福岡の三市場すべてで市場規模が大きく拡大する見通しであることを受けて、各市場で賃料に下押し圧力が加えられている状況であることに前四半期から大きな変化はありません。一方で、空室率は引き続き低位で推移し、東京と大阪は3%台を維持し、福岡は上昇しても2%台にとどまっていること、供給予定は決定率がじわじわ上昇し、問い合わせ件数も好調であることは明るい材料となっています。今後は、賃料に対する下押し圧力は徐々に緩和する見通しですが、フリーレントを含むインセンティブの拡大は継続する可能性があります。大規模な新規供給は過去に東京・大阪では複数回みられた一方で、福岡では初めてとなることから、各市場のインパクトが注目されます。

投資市場では、2022年第2四半期の日本の商業用不動産投資額は前期比9%増加となりました。しかしながら、上半期ベースでは前年比23%減少となっています。背景には、J-REITが取得を見合わせたことや大型取引が多くみられなかったことが挙げられます。今後は、投資家の投資意欲は依然旺盛であること、日銀の金融緩和政策の継続を受けて良好な資金調達環境が継続する見通しであることに加えて、特に海外投資家にとっては、諸外国が金融引き締めを強める中で継続する円安も相まって、日本市場の魅力が相対的に高まっていることから、下半期は供給物件が増加して市場が活性化してゆくことが期待されます。

グローバルオフィス市場では、プレミアムオフィスの賃料は引き続き底堅く推移しているものの、フリーレントを含むインセンティブは拡大傾向にあります。2022年第2四半期の世界の空室率は再び上昇に転じ14.4%となりました。アジア太平洋地域で横ばいとなったものの、米国と欧州で上昇しました。2022年の新規供給は過去数年で最大規模となり、来年の供給予定も当年の水準に及ばずとも大規模となる見通しですが、現在の経済情勢が建設セクターに与えている影響が、今後12ヵ月から24ヵ月にかけて供給予定に顕在化する見通しです。

グローバル インダストリアル市場では、引き続き需給の逼迫が継続しており、一部の国では賃貸借活動が抑制されています。3地域すべてで供給予定が連続で過去最大を更新しているにもかかわらず、空室率は概ね安定的に推移しています。空室率が2%を下回り供給不足に苦戦している都市が散見されます。このような需給関係を背景に、2022年第 2 四半期は 3地域すべてにおいて堅調な賃料上昇を記録し、グローバル平均賃料は前年同期比12.3%の上昇となりました。

グローバル リテール市場は、不確実性が高まっているにもかかわらず、第2四半期にプライムリテール市場の賃貸借活動は堅調となりました。特に、国内消費者をターゲットとする小売業者が新規出店や新コンセプトストアの出店を推し進めています。しかし、現状の物価上昇が消費者の可処分所得や運営コストに与える影響が把握されるにつれ、店舗取得の中断や直営店配置の最適化等の判断が増えています。賃料は、米国では堅調な需要に支えられ上昇基調を維持しており、欧州でも上昇がみられ始めています」

※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

リテール プロパティ クロック、インダストリアル プロパティ クロックに関する詳細は、「東京リテール マーケット サマリー」「東京ロジスティクス マーケット サマリー」の各定期レポートをご覧ください。 

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。

JLL Aグレードオフィス定義


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端のテクノロジーを活用した価値ある機会、優良なスペース、環境に配慮した持続可能な施策をお客様、人々、コミュニティに提供し、不動産の未来を拓く取り組みを進めています。フォーチュン500に選出されているJLLは、2022年6月30日現在、世界80ヵ国以上で展開、従業員約102,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com