ニュースリリース

【参考資料】JLL オフィス プロパティ クロック 2022年第1四半期

東京、大阪、福岡ともに、引き続き「賃料下落」フェーズ

2022年 06月 17日

東京 2022年6月17日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社:米国シカゴ、CEO & プレジデント:クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2022年第1四半期」を発表しました。

東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「新型コロナウイルス感染症の再拡大を背景に、2022年第1四半期における企業の景況感は7期ぶりに悪化した一方、3月の完全失業率は改善し、2020年4月以来の水準となりました。

東京、大阪、福岡のAグレードオフィスのプロパティクロックは、賃料下落のフェーズに位置しています。三都市すべてでみられる動きとして、供給予定を背景にオーナーのセンチメントが弱含み、賃料見通しに下押し圧力が加えられていることが挙げられます。東京では2023年と2025年、大阪と福岡では2025年まで4年連続で過去平均を大幅に上回る大量供給が予定されています。今後は賃料に加えられる下押し圧力は継続する見通しですが、供給予定ビルの予約契約率がじわじわ上昇してきていることは明るい材料と目されます。しかし、今後のウクライナ情勢、原材料価格の高騰等が企業の景況感に加えてテナントの動向に与える影響はリスクとなりえます。ストックの比較的小規模な市場では、新規供給の賃料が平均賃料を押し上げる可能性があります。

投資市場では、商業用不動産投資総額が、前期比・前年比ともに減少に転じました。大型物件の供給が限定的となるなど、複数の要因が重なった結果と考えられます。投資家の投資意欲は依然旺盛であるなか、市場での売物件の供給が鍵となっています。都市別にみると、投資総額全体に占める割合は東京と大阪で20%台に落ち込み、福岡は安定的に推移したものの5%未満となりました。セクター別にみると、住宅は増加に転じたものの、それ以外のすべてのセクターは減少に転じました。クロスボーダー取引はオフィス、リテールで観測されず、物流は過去5年平均比10%程度にとどまりました。今後は、投資待機資金が依然として積みあがっている状況下、投資家の高い投資意欲に変化はなく、供給物件が増加すれば、おのずと市場も活性化していくと考えられます。ウクライナ情勢及び対ロシア経済制裁などの影響が世界に波及していくなか、その直接的影響が比較的少ないと目される日本を世界の投資家がどう見るのか、継続する低金利状況に加えて昨今進行している円安傾向も含めて今後を注視していく必要があります。

グローバルオフィス市場に目を向けると、プライムオフィス賃料は引き続き底堅く推移しています。一方、フリーレントを含むインセンティブは過去平均との比較で拡大しています。空室率は、欧州とアジア太平洋地域では安定的に推移したものの、米国では上昇(0.3ポイント)したことから、世界の空室率は再び上昇に転じて14.7%となりました。当年の新規供給は過去数年で最大となる見通しですが、今後の供給予定については、ウクライナ情勢や建設費上昇の影響を受ける可能性があります。

グローバル リテール市場は、見通しの不確実性が高くなっているにもかかわらず、成熟した主要リテール市場の多くで賃貸借活動は堅調となっています。とりわけ、国内の顧客をターゲットとするリテーラーは、新規開業や新しいコンセプトの導入に積極的となっています。米国では需要の回復に伴い、賃料は上昇トレンドへ回帰しています。

グローバル インダストリアル市場では、世界中で物流倉庫が着工し、その面積は記録的な水準に上っていることから、今後は一部の市場において需給ひっ迫は緩和される可能性があります。しかしながら、空室率がきわめて低い水準で推移している市場では、賃料は引き続き上昇圧力が加えられる見通しです。さらに、開発用地がきわめて限定的であることにより供給が抑制されている主要市場は増加していることから、土地価格は高騰しています」

※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

リテール プロパティ クロック、インダストリアル プロパティ クロックに関する詳細は、「東京リテール マーケット サマリー」「東京ロジスティクス マーケット サマリー」の各定期レポートをご覧ください。 

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端のテクノロジーを活用した価値ある機会、優良なスペース、環境に配慮した持続可能な施策をお客様、人々、コミュニティに提供し、不動産の未来を拓く取り組みを進めています。フォーチュン500に選出されているJLLは、2022年3月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約100,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com