ニュースリリース

【参考資料】JLL オフィス プロパティ クロック 2021年第4四半期

東京、大阪、福岡ともに「賃料下落」フェーズに位置

2022年 03月 15日

東京 2022年3月15日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社:米国シカゴ、CEO & プレジデント:クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2021年第4四半期※1」を発表しました。

東京、大阪、福岡※2のAグレードオフィス賃料は、ともに「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「先頃発表された2021年第4 四半期のGDPは前期比年率換算で4.6%増(実質、2次速報値)、2四半期ぶりのプラス成長となりました。新型コロナウイルス感染拡大による緊急事態宣言の解除などにより個人消費が伸びるとともに、企業の設備投資ならびに輸出も増加しました。

オフィス市場をみると、東京、大阪、福岡のAグレードオフィス市場は賃料下落のフェーズに位置しています。中短期的に各市場の供給予定が比較的大量となっていることを背景に、一部オーナーは賃料引き下げやインセンティブ拡大に柔軟姿勢を示しており、平均実効賃料に下押し圧力が加えられています。今後は、社会経済活動の持ち直しが継続する中で、賃貸借活動において回復の加速が期待されますが、供給面での制約、原材料価格の高騰に加えて、ロシアの軍事侵攻の影響等がテナント需要に与える影響は懸念となっています。福岡は、東京・大阪との比較で市場規模が小さいため、新規供給が賃料に与える影響は大きくなることもあり、比較的早期に賃料上昇フェーズへ移行する可能性があります。

投資市場をみてみると、2021年の商業用不動産投資額は総じて前年比減少となりました。しかしながら、都市圏別にみると、大規模オフィス取引がみられた東京中心業務地区とオフショア投資の増加が続いている大阪は既に2019年の水準まで回復しています。セクター別にみると、オフィスは2019年の水準まで回復、リテールも一定程度戻り、ホテルは2年ぶりに前年比増加に転じています。一方で、インダストリアルとレジデンシャルは好調となった前年からの反動がみられています。今後も、日本においては急激な金利上昇の可能性は低く、良好な資金調達環境が継続することが予想されるとともに、国内外の投資家による投資意欲も引き続き旺盛となっていることから、投資市場は活発化する見通しです。不動産はインフレヘッジ可能な資産であり、危機時におけるディフェンシブな投資資産としての役割を果たすことから、昨今の地政学的問題を含む先行き不透明感の漂うなか、日本不動産市場が資金シフトの対象となる可能性があります。

グローバル オフィス市場に目を向けると、世界のオフィス市場は、オミクロン株の出現にもかかわらず、2021年第4四半期に回復を続けました。新規賃貸借面積をみると、当四半期は前年比51%の増加、2021年通年は前年比21%の増加となりました。しかしながら、感染症拡大前の2019年の水準と比較すると、アジア太平洋地域は7%の増加となった一方で、欧州は12%の減少、米国は23%の減少となり、地域により回復度合はまちまちとなっています。多くの市場が借り手優位に傾倒する中、企業の『質への回避』(オフィス空間のウェルビーイング、品質、環境配慮等)への関心は、プライムオフィス賃料を下支えしています。インセンティブは縮小に転じている市場が増加しています。空室率は14.8%まで上昇しましたが、今後上昇は予測されていません。

グローバル リテール市場は、オミクロン株の影響を受けながらも、好調な需要を背景に、第4四半期は前年を上回る水準で推移しました。産業別にみると、パーソナルジムや飲食店の需要が旺盛になり、また、ハイブリッドな働き方の拡大により職住近接の傾向が強まると目した小売業者らによる、大型商業施設や近隣型商業施設における需要が観測されています。

グローバル インダストリアル市場を見てみると、旺盛な需要と限定的な供給が続いていることから、第4四半期はグローバル3地域全てで賃料上昇が観測されました。米国と欧州では、空室率は4%を下回る歴史的低位で推移し、年間の賃料上昇率は10%を上回りました。開発用地の不足により需給は一層逼迫するとみられているため、2022年のトピックには、新規供給と開発用地の確保が挙げられます」

※1 本内容は2021年12月31日時点のデータ及び見解です

※2 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

リテール プロパティ クロック、インダストリアル プロパティ クロックに関する詳細は、「東京リテール マーケット サマリー」「東京ロジスティクス マーケット サマリー」の各定期レポートをご覧ください。 

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速、②賃料下落の減速(→底入れ)、③賃料上昇の加速、④賃料上昇の減速(→頭打ち)、というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。

JLL Aグレードオフィス定義


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端のテクノロジーを活用した価値ある機会、優良なスペース、環境に配慮した持続可能な施策をお客様、人々、コミュニティに提供し、不動産の未来を拓く取り組みを進めています。フォーチュン500に選出されているJLLは、2021年12月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約98,000名を擁し、2021年の売上高は194億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com