グローバル キャピタル アウトルック

グローバル不動産投資市場の展望概要

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先行者利益が顕在化する不動産投資市場

予想を上回るインフレによって金利が上昇。景気後退リスクが懸念され、市場全体に不透明感が漂っている。

世界の主要中央銀行の多くが不動産投資や資産評価において重要な要素となる金融緩和策を実施しており、市場全体の透明性が高まっている。金利が安定することで債務コストの予測可能性が高まり、価格の安定、融資の増加、そして流動性の促進に寄与するだろう。

不動産投資家にとって債券市場は重要な焦点となっている。クレジット戦略には分散効果があり、高金利環境下でもパフォーマンスを発揮する。レンダーが慎重になっている市場・セクターでは、資金調達の選択肢として新たな調達先が登場しており、特に世界金融危機以降、デット・ファンドが融資能力を増強している。JLLでは、2025年末までに世界の不動産資産のうち3.1兆米ドルもの借入が満期を迎えると予測。投資家は、メザニン型ファイナンス、レスキュー・キャピタルなどのストラクチャーを通じて、新しい不動産セクター・市場へ目を向け、資本構造やリスク許容度を見直す必要がある。

不動産ファンドの資金調達はコロナ前の水準と比較すると減少してきているが、2024年8月時点で3,940億米ドル相当のドライパウダー(待機資金)が積み上がっている。リスクとリターンに対する期待値が変化する中、投資家はより高いリターンを求めるようになってきている。不動産の価値に底打ちの気配が漂い始めた市場環境において、投資家の視線は高利回り戦略と先行者利益の実現に向けられるようになった。不動産投資家は、賃料上昇が最大限期待できる信頼性の高いセクター・市場への参入を優先すべきだろう。

2024年以降のJLLによる世界の不動産市場、セクター別の見通し、およびテナントトレンドの予測をさらに詳しく知ることができます。

足もとでは分母効果への懸念や債券運用を優先する圧力が広がっているものの、資産クラスとしての商業用不動産(CRE)の長期的な魅力は損なわれておらず、分母効果の弱まりを示す初期兆候が現れ始めている。CREは他の金融資産との関連性の低さ、安定収入、分散効果などが見込め、優れたインフレ対策となりえる。多くの投資家にとって不動産への戦略的な資産配分は、特に長期安定収益を確保できることから、より増加傾向に向かうと予想する。

不動産セクターの投資動向を紐解くと、コロナ以前の10年間で不動産ポートフォリオ戦略は変化を遂げており、不動産市場は資本の大規模な再配分がなされる初期段階にある。世界の不動産市場は”多様化”が顕著になっており、いわゆる「不人気」セクターでさえ、世界的に多様化が進む不動産ポートフォリオ戦略の中で一定の地位を確保している。現在、世界で最も多くの資本を集めているのは住宅セクターであり、物流セクターがこれに続く。一方、オフィスを含む他のセクターでは資本流出がみられるものの、JLLはこれらのセクターが高品質な物件を中心に回復すると予想する。参入障壁・取得競争・クラウディングイン戦略に対する障壁の程度が異なることを考慮すると、資本配分は新しい投資戦略を実現するための大きな課題となり、市場へのリアルタイムな接続性に対するニーズが高まっている。

資産クラスの成長はセクターを超えて拡大する。技術革新や社会環境の変化、ビジネスモデルの進化、ライフサイエンスやデータセンターなどの新産業の成長を受けて、新たな投資機会が長期的に生み出されている。多くの都市や企業が、クリーンなエネルギーに移行していくにつれ、インフラ施設、製造・流通施設に対する需要が高まる。高度な製造業が新たな投資機会を生み、R&D不動産(研究開発施設)や生産・物流施設に対する需要が拡大していく。

今後の見通しが明らかになるにつれて、投資家は既存の保有資産を見直し、セクター・立地、投資配分など、多角的に投資戦略を見直し、収益性・資産価値の成長機会を追求していく必要がある。

JLLのキャピタルマーケット

我々は不動産と資本におけるグローバルアドバイザーです。