ニュースリリース

【ご参考リリース】
JLLオフィス プロパティ クロック 2023年第3四半期

東京、大阪、福岡ともに「賃料下落」フェーズ

2023年 12月 05日

東京 2023年12月5日 – 総合不動産サービス大手JLL(本社: 米国シカゴ、CEO & プレジデント: クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL)は、世界主要都市のオフィス賃料動向を示す独自の分析ツール「オフィス プロパティ クロック(不動産時計)2023年第3四半期」を発表しました。

東京、大阪、福岡※1のAグレードオフィス賃料は、引き続き「賃料下落」フェーズに位置しています。

JLL日本 リサーチ事業部長 赤城 威志は次のように述べています。

「2023年7-9月期の実質GDP成長率は前期比2.1%減(季節調整済み年率換算)と3四半期ぶりのマイナス成長となりました。輸出は好調を維持したものの、設備投資がマイナス(2.5%減)、GDPに占めるウェイトが高い個人消費もマイナス成長となりました(0.2%減)。コアCPIは9月まで前年比3%以上の上昇が12ヵ月続いており、消費が抑制されている可能性があります。

こうした状況下、2023年第3四半期のオフィス プロパティ クロックをみると、東京、大阪、福岡のAグレードオフィス市場は押し並べて賃料下落フェーズに位置しています。しかし、3市場全てにおいて空室率が低下しており、東京では、正味の需要変動量を表すネットアブゾープションが新規供給量以上の水準を記録、プロパティ クロック上でも3時を過ぎ、『回復期』へ向けて時を刻み始めました。大阪と福岡では、来年以降に大規模新規供給を控えていることから、市場参加者の慎重姿勢が続いているものの、今後は優良ストックの大規模な市場供給を背景に賃貸市場の活性化が期待され、賃貸活動は拡大する見通しです。

グローバル不動産投資市場は、2023年第3四半期の投資総額は前年比46%の減少、第1-3四半期の総計は同50%の減少となり、投資総額が継続的に大幅に減少しています。背景には、資金調達コストの上昇と保守的な成長見通しがあり、これを受けてファンドの調達額も減少しています。

対照的に、日本における投資総額は、2023年第3四半期は前年比8%増、第1-3四半期は同40%増で堅調に推移しています。投資家属性別にみると、上述の状況を受けクロスボーダー投資は減少していることから、国内投資家が牽引しています。セクター別にみると、四半期ベースの投資総額では、伝統的セクターの前年比変動率が大きくなる中で、第1位がホテル、次いで物流、オフィスとなり、JLLが統計を開始して以降初めてホテルが第1位のセクターとなりました。今後は、良好な資金調達環境の継続等を背景に、投資市場は引き続き活況を呈すると見込まれます。ただし、9月に10年ぶりの高水準を記録した長期金利の動向や、グローバル画一の消極的投資判断がクロスボーダー投資総額に与える影響に注視する必要があります。

グローバルオフィス市場では、第3四半期の空室率が0.35ポイント上昇して15.9%となり、過去最高を記録しました。上昇が最も大きかった地域は北米(0.47ポイント上昇)であり、次いで欧州(0.20ポイント上昇)、アジア太平洋地域(0.14ポイント上昇)となりました。供給計画の遅れにより、現在の供給サイクルのピークは2024年まで先延ばしされましたが、2024年の新規供給は2023年並みとなる見通しです。すでに北米では着工件数が急減していますが、供給予定をみるとアジア太平洋地域では2024年まで、欧州では2025年まで新規供給の増加が見込まれます。従って、2023年第4四半期から2024年にかけては、新規供給を背景に空室率は上昇すると考えられます。2025年以降は、新規供給の減少が予想されるため、新築等の高スペックのオフィスに対する堅調な需要により、新規供給が不足する可能性があります。

グローバル物流市場では、2023年第3四半期に北米と欧州で賃貸借活動が一層減速し、テナントが物流拠点の再構築を行う中で意思決定が長期化しました。アジア太平洋地域では、新規供給が需要を刺激し、ネットアブゾープションが前年の水準を上回りました。現在、北米とアジア太平洋地域では、建設工事中面積は記録的な水準にありますが、建設コストと資金調達コストの上昇により、着工は減少しています。グローバルで賃料は上昇を続けていますが、過去2年間と比較すればそのペースは減速しており、北米で前年比14.9%の上昇、欧州で同10.8%の上昇、アジア太平洋地域のいくつかの市場でも上昇がみられています。

グローバルリテール市場では、国境を超える人の流れの回復や、軟調ながら依然底堅い労働市場を背景に、人流と小売業販売額は増加を続けています。2023年第3四半期には、観光客の増加を背景に、アジア太平洋地域の多くの市場でセンチメントが回復、欧州のいくつかの市場でも人流はコロナ禍前の水準まで回復しました。米国では空室率が記録的な水準まで低下しているにも関わらず、ネットアブゾープションはプラスの水準を維持しています。」

※1 福岡Aグレードオフィス賃料の発表は2021年第1四半期から開始

【ご参考】

JLLプロパティ クロック(不動産時計)とは?

世界の主要都市の賃料動向を時計に見立てて「見える化」したJLL独自の市場分析ツールで、四半期ごとに発表しています。賃料が概ね①賃料下落の加速②賃料下落の減速③賃料上昇の加速④賃料上昇の減速というサイクルで変動することを前提とし、現在の賃料がそのサイクルのどこに位置するかを表示することで、世界主要都市の賃料サイクルを示しています。


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。オフィス、リテール、インダストリアル、ホテル、レジデンシャルなど様々な不動産の賃貸借、売買、投資、建設、管理などのサービスを提供しています。フォーチュン500®に選出されているJLLは、世界80ヵ国で展開、従業員約105,000名を擁し、2022年の売上高は209億米ドルです。企業目標(Purpose)「Shape the future of real estate for a better world(不動産の未来を拓き、より良い世界へ)」のもと、お客様、従業員、地域社会、そして世界を「明るい未来へ」導くことがJLLの使命です。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com