2017年日本のホテル取引額 前年比13%減の約3,390億円
売り物件の減少が影響
総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西利信)のホテルズ&ホスピタリティ事業部が実施した日本におけるホテル資産取引についての独自調査によると、2017年通年の取引ホテル数※1は56ホテルとなり(図表①、2018年2月末日集計時点)、2016年(63件)との比較において前年比11%減少し、取引額についても約3,390億円と、2016年(約3,910億円)を13%下回る結果となりました。(図表②)
日本における商業用不動産(ホテル含む)の2017年通年取引額が対前年比で13%増加※2したにもかかわらず、ホテル資産の取引件数・取引額は減少したものの、投資家の投資意欲は引き続き高く、売却されるホテル数そのものの減少が影響したものと考えられます。
また、買主属性別では、2016年まで積極的にホテル買収を行っていたJ-REITおよびそのスポンサーによる資産購入割合が減少し、不動産会社や投資ファンドの取引割合が増加しました。全般的なJ-REITの投資口価格低迷(配当利回り上昇)により、J-REITが積極的な投資活動を行いにくかったものと目されます。
同事業部副部長の寺田八十一は、「2017年は売り物件の減少により、ホテル取引件数・取引額ともに減少しましたが、ホテル投資家のホテル資産購入意欲は依然として衰えていません。一部投資家においてはホテル新規供給増によるホテルパフォーマンスの低下懸念が見られるものの、反対にホテル投資マーケットへの新規参入者も増加し続けています。訪日外国人数の堅調な増加などを背景に、中長期的には充分なリターンが期待できる資産と見做されているようです」と述べています。
また、同事業部部長の沢柳知彦は、「既存ホテルの取引は減少がみられるものの、2018年-2020年に掛けては、販売用不動産として新規に開発されたホテルが竣工後に売却されることで、取引件数が再び増加する可能性もあります」と述べています。
- 1 取引ホテル数および推定取引額には各種媒体に掲載された取引およびJLLが独自に収集した取引が含まれていますが、関連会社間の取引やREITが自身のスポンサーから購入した取引については含めておりません。
- 2 2018年2月15日発表 JLL「ジャパン・キャピタル・フロー2017年第4四半期」