アジア太平洋地域のホテル投資額 2021年上半期

（2021年7月5日にシンガポールから発表されたリリースの抄訳版です）

東京 2021年7月19日 – 総合不動産サービス大手JLL（本社:米国シカゴ、CEO:クリスチャン・ウルブリック、NYSE: JLL）の調査によると、アジア太平洋地域における2021年上半期のホテル投資額は前年同期比3.7%減の37億米ドル、ホテルの投資件数は61件、部屋数にして10,000室以上となりました。

投資市場が活況だった2019年上半期の投資額と比べると約18%減となった一方で、コロナ禍での厳しいビジネス環境や渡航規制の影響下においても大型ホテル取引が見られたことは、ホテル市場の底堅さやセクターに対する投資家の期待が表れています。

JLLホテルズ&ホスピタリティグループ アジアパシフィック CEOのマイク バチェラーは次のように述べています。

「アジア太平洋地域のホスピタリティセクターに対する回復期待は引き続き高く、投資家は長期的な視点で同セクターに注目しています。都市のロックダウンや移動規制があったにも関わらず投資額が積みあがったことは、ホテル市場のレジリエンス（耐性）を示しています」

アジア地域の投資額は35.3億米ドル、全投資額の約94%で、中国、韓国、日本での投資活動が約86%を占めています。中国の投資額は前年同期比54%増の13億米ドルで、サービスアパートメントの区分売却や他用途へのコンバージョンを前提とした築古ホテルの売却が多くみられました。以前から同地域で最も活発な市場である日本の投資額は、前年同期比47%減の11億米ドルと他の地域と比較すると立ち遅れが見られたものの、下半期には日本企業によるホテル売却が予定されていることから投資額は増加すると見込まれます。オーストラリアの投資活動は、JLLがアドバイザーとしてサポートをしたAccorInvest 社によるホテルポートフォリオ売却約1.34億米ドルにより、大きく増加しました。また、成長が期待できるコア物件への投資機会が増えたことで投資額が増加し、前年同期比312%増の2.15億米ドルとなり、市場に対する投資家の強い関心と価格の高止まりが続いています。

また、買主需要から価格が上昇しているゲートウェイ都市よりも中核都市の市場が堅調です。継続する世界的な観光、ホスピタリティ業に対するパンデミックの影響から、投資家はほとんどの市場でリスク調整を行い、オポチュニスティック型やバリューアッド型の投資を行っています。

JLL日本 執行役員 ホテルズ＆ホスピタリティ事業部長 辻󠄀川 高寛は次のように述べています。

「ほとんどの市場で物件価格のギャップが存在すると認識しています。しかしながら、財務状況の健全性やレンダーとの良好な関係、地域により多少の差はあるものの政府の広範なサポートもあり、ほとんどのホテルオーナーは大きなプレッシャーにはさらされていません」

ホテルセクターに対する長期的な信頼は高く、投資家は引き続きホテルへの投資機会を探求しています。不動産セクターへの投資資金は記録的な量となっており、プライベートファンドから富裕層個人投資家、事業会社まで、取得機会を狙っています。オフショアグローバルな投資家は日本、オーストラリアを最優先にみており、中国、韓国では国内投資家による投資活動が活発です。また、投資家は、コロナ後のレジャー需要を見据えたレジャー市場にも関心を寄せています。

ワクチン接種の遅れや変異型ウイルスによる感染拡大など、アジア太平洋地域のホテル市場は短期的にも厳しい状況が続くものの、JLLは2021年下半期のホテル投資は増加すると予測しています。

辻󠄀川は、「下半期には急激なビジネスサイクルのリバウンドもあり、アジア太平洋地域のホテル投資は加速するとみられます。オーストラリア、タイ、中国、日本での大型取引のパイプラインにより下半期の投資活動は活発になる見込みで、2021年通年の投資額は前年比20%増の70億米ドルになると予測します」と述べています。

JLL（ニューヨーク証券取引所上場：JLL）は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは、最先端テクノロジーを駆使して、お客様や人々、コミュニティーに対し、投資機会や環境に配慮した持続可能な不動産ソリューションを提供することで、不動産の未来をかたちづくり、よりよい世界に貢献します。

フォーチュン500に選出されているJLLは、2021年3月31日現在、世界80ヵ国で展開、従業員約91,000名を擁し、売上高は166億米ドルです。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com