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シェアオフィスとは?自社に最適なオフィス選択のために知っておきたい特徴と注意点

柔軟な働き方の実現とオフィスコストの削減につながる「シェアオフィス」の特徴やメリットとデメリット、混同されやすい「サービスオフィス」や「レンタルオフィス」、「コワーキングスペース」、「サテライトオフィス」との違い、失敗しないシェアオフィスの選び方を紹介する。

2023年 09月 25日
シェアオフィスとは?特徴と目的

近年、時間や場所にとらわれない多様で柔軟な働き方が浸透したことにより、旧来の全従業員が定時に出社するワークスタイルからリモートワークやフレックスタイムなどを組み合わせたよりフレキシブルな勤務形態が広まりつつある。

それに合わせて、オフィスのあり方についても見直しを迫られている企業は少なくないだろう。

しかし、オフィスの形態にはさまざまな種類・呼称があり、経営層や総務担当者は自社にとって最適なのはどのようなオフィスなのか戸惑うこともあるのではないだろうか。

シェアオフィスは、従来型の賃貸オフィスとは異なり、契約期間や面積などをより柔軟に設定できるオフィス形態の1つである。

こういったフレキシブルなオフィスは何種類かあるが、その中でシェアオフィスの特徴としては主に以下のような点があげられる。

  • オフィススペースを複数の利用者で共有する

  • 契約者ごとに簡易的にスペースが区分されている

  • 賃貸借契約でなく月額制や従量制などが多い

シェアオフィスは、士業やフリーランスなど1名あるいは数名でオフィスを利用するには一般的な賃貸オフィスでは広すぎるといった場合、あるいは本社から離れた立地で一時的に少人数のチームがプロジェクトを進めるといった場合によく選ばれる。

シェアオフィスが普及した背景

シェアオフィスは一部の業種では古くから普及していたが、大部分の一般企業では全従業員が出勤することを前提に長期的なオフィス契約を結んでいた。しかし、リーマンショックにより景気が停滞するとコスト削減や効率化が求められ、その手段の1つとして「シェアオフィス」がクローズアップされるようになった。

そして、2015年に国連でSDGsが採択されると、オフィス環境にも多様性やサステナビリティが求められるようになったこともシェアオフィスの需要が拡大するきっかけになった。自社オフィスを離れて快適な場所を選んで働く「コワーキングスペース」や「ワーケーション」といったワークスタイルも登場。さらに2020年からのコロナ禍によってリモートワークが急速に普及した結果、従来の固定的な本社機能を社会や事業の変化に合わせてフットワーク軽く対応できるシェアオフィスなどの「フレキシブルオフィス」に転換する企業が増えつつある。

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シェアオフィスと他のフレキシブルオフィスとの違い

契約期間やオフィスの広さなどを柔軟に調整できる「フレキシブルオフィス」にはさまざまな形態や名称があるが、代表的なものは次の5つだといえるだろう。

  • シェアオフィス

  • サービスオフィス

  • レンタルオフィス

  • サテライトオフィス

  • コワーキングスペース

以下に各オフィスとシェアオフィスとの違いを比較してみた。

シェアオフィスとサービスオフィスの違い

サービスオフィスとは、ビジネスに必要な設備とラグジュアリー感のある内装が施された個室型のフレキシブルオフィスである。通信環境や事務機器などは事前にすべて備え付けられており、受付や雑務のサポートをしてくれるコンシェルジェも常駐するところがシェアオフィスと異なる。費用はシェアオフィスよりも高額で、好立地でグレードの高いオフィスに開設されることが多く、企業イメージやブランディング向上、快適な執務環境を得るのに適している。

シェアオフィスとレンタルオフィスの違い

レンタルオフィスも、サービスオフィス同様にビジネスに必要な通信環境や事務機器が一通り用意される個室型のフレキシブルオフィスであるが、サービスオフィスのようなラグジュアリー感を追求したものではなく、シンプルかつ実用的なオフィス機能に限定されることが多い。

シェアオフィスとコワーキングスペースの違い

コワーキングスペースも、シェアオフィスと同様に複数の利用者が共同でスペースを使用するフレキシブルオフィスの一形態だが、シェアオフィスは契約者ごとにエリア・座席が分割されているのに対し、コワーキングスペースはデスクの指定のないフリーアドレス制になっていることが多い。また多くの人々と交流できるオープンスペースやイベントスペース、施設運営を担うコミュニティマネージャーを介して協働の可能性がある人材・企業をマッチングする仕組みなどもあり、他社とのコミュニケーションやコラボレーション、ネットワークの構築に適している。

シェアオフィスとサテライトオフィスの違い

サテライトオフィスとは、本拠地のコアオフィスとは異なる場所に開設する小規模なオフィスのことで、シェアオフィスやコワーキングスペース、レンタルオフィスなど各オフィスをサテライトオフィスとすることが可能だ。立地によって「都市型」、「郊外型」、「地方型」の3種類に分けられ、都市型のサテライトオフィスは地方や郊外に本社を構える企業の都心の拠点やBCP対策に、郊外型は通勤時間の短縮など従業員の利便性向上を主な目的とし、地方型は都心の企業が地方に事業展開する際の営業拠点や執務スペースとして設置することが多い。

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シェアオフィスのメリット

他社や異業種の人々とのコミュニケーションから新しいビジネスチャンスが生まれたり、イノベーションをもたらしたりする可能性もある

一般的な長期契約の賃貸オフィスやリモートワークなどと比較して、シェアオフィスにはどのようなメリットがあるのか比較してみたい。

初期投資が抑えられる

多くのシェアオフィスでは敷金(保証金)や礼金が不要である。また既にオフィス環境が整った状態で入居できるため、事前の内装工事や什器・設備機器の手配が必要なく、それらにかけるコストが削減できる。

入退室や勤怠管理がしやすい

在宅勤務では、各自の勤務時間などが把握しづらい傾向があるが、シェアオフィスにはセキュリティーゲートなどが設けられ、本社へ出勤しない従業員の入退室や勤怠が明確になる。

シェアオフィスを利用する際に注意すべきポイント

シェアオフィスを検討する場合には、契約前にいくつか気をつけておきたいポイントがある。もれなくチェックしてシェアオフィス選びに失敗しないように注意したい。

  • 入退室時のセキュリティは確実か

  • 座席数やスペースは使用人数に対して適切か

  • 会議室の数は利用者数に対して十分か

  • 複合機等の機器の性能は十分か

  • 空調や照明は適切か

  • インターネットの通信環境や速度は十分か

  • 専有部だけでなく共用部も清掃等が行き届いているか

  • 受付や電話対応などのサービスはあるか

  • 周囲が騒がしすぎないか

  • 乗り入れ路線や駅からの経路は効率的か

シェアオフィスの利用者に向いている企業・向いていない企業

シェアオフィスを利用することでメリットが多い業種や職種もあればそうではない業種職種もある。ここでは両者の特徴を紹介する。

シェアオフィスに向いているのは?

好立地かつ高グレードの設備を有するオフィスビルに入居できるのがシェアオフィスのメリットだ。対外的にブランドイメージを高めたいスタートアップ企業や、フリーランスで活躍するコンサルタント・デザイナーなどにも特に向いているといえる。

シェアオフィスに向いていないのは?

シェアオフィスは、簡易的なパーテーションなどで各利用者のエリアを仕切っていることも多い。弁護士や行政書士などの士業では、事務所を開設する際に、情報漏えい防止等のための施策が求められる等の諸条件があるため、シェアオフィスでも独立した個室型を選ぶ必要がある。

自社に合ったシェアオフィスの選び方

シェアオフィスを選ぶ際には、以下の順番で候補を絞り込んでいくとよい。

  1. 利用する人数を把握し、必要な広さを算出する

  2.  月額制か、曜日などを限定したスポット利用(従量制)かを選択する

  3.  必要な設備・備品が揃っているか確認する

  4. 基本料金とオプション料金を確認し、総額が予算に見合っているか検討する

押さえておきたい最新のオフィス戦略と傾向

オフィスデザインの起点は、モノからヒトへと変化しており、そこで働く人々のニーズや価値観が盛り込まれたものとなっている

自社に最適なオフィス選びの候補としてシェアオフィスを検討すると同時に、世の中にはどのようなオフィスのニーズと選択肢があるのか、今後どのように動いていくのかを知っておくことが欠かせない。

「どのようなオフィスを構築するか」……つまりオフィスデザインの起点は、モノからヒトへと変化しており、そこで働く人々のニーズや価値観が盛り込まれている。 その中でも主流となる4つのトレンドを紹介する。

オフィスデザインのトレンド1:ハイブリッドワークを実現する「フレキシブルオフィス」

毎日決まったオフィスへ出勤するのではなく、状況に応じて多様な場所で柔軟に働く場所や時間を選べる「ハイブリッドワーク」に注目が集まっており、それを叶えるための「フレキシブルオフィス」が求められている。

従業員の多様なニーズを満たすことで人材の確保につながるほか、オフィス賃料や通勤交通費などのコスト削減効果も見込める。

オフィスデザインのトレンド2:つながりを感じられる空間

コロナ禍でのオフィスワーカーへの聞き取り調査では、リモートワークの弊害として人と人とのつながりが感じられないことを挙げる従業員が多かった。これからのオフィスには、デスクを固定せずその日その日で自由に働く場所を選べ、自然な雑談が生まれるような共有スペースを備えたコミュニケーションスペースの設置は有効な戦略といえる。JLLの最新リサーチによると、企業は現在「コラボレーション」を重視しており、45%がコラボレーションの促進をオフィススペースの目的の上位3項目に含めている。

オフィスデザインのトレンド3:従業員のウェルビーイングを優先したオフィス環境

オフィス環境は従業員の心身の健康=ウェルビーイングに大きな影響を及ぼす。従業員個人のQOL(人生の質)の悪化、生産性低下や退職による事業活動への悪影響などを回避するため、オフィスデザインの観点からも従業員のウェルビーイングを守る取り組みがさかんになっている。

オフィスデザインのトレンド4:テクノロジーの活用

オフィスでIoTを活用し、快適性や生産性を高める取り組みも進んでいる。従業員の行動データを収集した分析結果をもとに、スペースの最適化やコミュニケーションの改善を図り、ソーシャルネットワーク・CRMツール・プロジェクト管理ツール等のテクノロジーを取り入れたハイブリッドなオフィス環境作りはさらに今後進むだろう。

これからのオフィスデザインとは?

進むオフィスの多様化とは?働く場所を組み合わせたハイブリッドワーク

フレキシブルオフィス需要の核となっているのは、場所や時間にとらわれず自由に働き方を選べる「ハイブリッドワーク」

2020年からのコロナ禍を機に、不確実な将来の見通しに対応するため、多くの企業が利用面積や座席等を柔軟に変更できるフレキシブルオフィスを志向する動きが顕在化した。本社機能をフレキシブルオフィスに移転する企業も少なくない。

フレキシブルオフィス需要の核となっているのは、場所や時間にとらわれず自由に働き方を選べる「ハイブリッドワーク」だ。具体的には、各従業員は、オフィスへの出勤・サテライトオフィスやコワーキングスペース・自宅などからもっとも都合のよい場所を選び、その日の業務内容や家庭の事情などに応じて時間も調整できるというものである。世界各地の戦略的意思決定責任者に対して行ったJLLの働き方に関するリサーチによると、調査対象となった意思決定者の77%が、人材の確保と長期雇用にリモート/ハイブリッド型勤務が重要となるという見解に賛成/強く賛成している。

ハイブリッドワークを導入する企業の旺盛な需要に応え、オフィスサービスを多様化すべく各デベロッパーや不動産会社もフレキシブルオフィス事業の強化に乗り出している。

働き方の未来に関するJLLの最新レポートをダウンロード

シェアオフィスの利点を生かしたオフィス戦略を

シェアオフィスには、初期投資が少なく好立地・高グレードのオフィスでスムーズに業務を開始できるというメリットがある。一方で、セキュリティ面やランニングコストなど注意すべき点もある。

戦略的なオフィス構築には、自社の求めるオフィスの役割やシェアオフィスの特徴・メリットをしっかりと理解し、最適な結果に結びつくかどうか検証しながらすすめてほしい。

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