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グローバル投資家はアジア太平洋地域に自信を持ち続けている

1.8兆米ドル超の運用資産を要するグローバル投資家を対象にアンケート調査を実施。投資家はアジア太平洋地域の不動産投資市場がコロナ後も長期的に成長すると確信していることが判明した。

2020年 10月 06日

不動産投資額の早期回復を確信

コロナ禍による経済の不透明感が世界の不動産市場を抑制しているが、投資家は数カ月以内にアジア太平洋地域の投資額が回復すると確信し続けているようだ。

2020年は世界各地でロックダウンや渡航制限がなされたことで多くの投資家は投資計画を一時停止せざるを得なくなった。JLLのデータによれば、2020年上半期の世界の商業用不動産投資額は前年同期比29%減の3,210億米ドルまで落ち込み、アジア太平洋地域の投資額も43%減少した。

しかし、JLLが計1.8兆米ドル超の運用資産を擁するグローバル投資家38社を対象に実施したアンケート調査によれば、不動産投資家の84%がアジア太平洋地域の投資額は2021年初めまでに十分回復すると予想している。楽観視する理由は中国の継続的な回復が背景にある。一部の投資家は更に強気の姿勢を見せており、32%が2020年下半期に市場が回復すると見込んでいる。

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コア地域・セクターの投資を再集中

こうした投資家の並々ならぬ「自信」は不動産投資市場に限った話ではない。株式市場もコロナ禍にかかわらずここ数ヵ月間高騰を続けており、アナリストはその理由としてパンデミックが最悪期を過ぎたという認識や、中央銀行の大規模な景気刺激策を挙げている。

JLLアジア太平洋地域 キャピタルマーケット CEO ステュアート・クロウは「信じられないかもしれないが、投資家は悲観的ではない。課題は残るものの、多くの投資家はアジア太平洋地域における投資戦略として、コロナ前からトレンドとなっていたコア地域・コアセクターに再集中させようとしている」と説明する。

最も需要が大きいのは、ディフェンシブな地域・セクターだ。日本と韓国が依然としてリストの最上位を占める。アセット別では、住宅投資セクター、オルタナティブセクター、そしてクレジットイベント(市場・経済に多大な悪影響を与えると想定される社会上の出来事)に強い物流セクターだ。

56%が日本での投資戦略拡大を計画

調査結果は、投資家が継続するリスクを低減させるディフェンシブ戦略としてコア地域に注目する中で、日本、韓国、中国、オーストラリアが2021年に向けて取引活動が増加する可能性が高い地域であることを示している。

世界第3位の経済規模を有する日本市場の相対的な安定性と透明性から、アンケート回答者の56%が2021年に投資拡大を計画している。収入とキャピタルバリュー・リターンが相対的に安定している日本は緊急時における安全な「避難港」としての地位を固めている。

一方、中国は国内景気がコロナ禍以前から減速していたにも関わらず、調査対象となった投資家は短期的な逆風を見越して同市場の長期的成長力に期待しており、51%が2021年中に投資拡大を予定している。

クロウは「取引活動が増加し、コロナ危機後に局地的な投資価値が認められれば、投資家はリスク許容度を増加させ、不動産に対する直接的・間接的投資の両方が対象に含まれるだろう」と述べる。

ほとんどのアンケート回答者にとって主なルートは民間市場における直接投資だが、不動産への投資拡大のため新たな取引スキームへの注目が高まっている。プラットフォーム/企業取引(32%)やデットを活用した投資活動(29%)を計画している投資家も多い

JLLアジア太平洋地域 チーフ・リサーチ・オフィサー ロディ・ アランは「新型コロナウイルスは、投資家が不動産にアクセスする方法を変化させている。不透明な時期にはより安定したリスクプロファイルへのシフトが見られるのが典型的だが、多くの投資家はアジア太平洋地域における長期的にポートフォリオを分散する投資戦略を検討する。そして同時に地域内における取引方法を再考している」との見解を示す。

コロナ禍の投資市場におけるディフェンシブセクター

新型コロナウイルスが猛威を振るい続ける中、投資家は既存のポートフォリオとディフェンシブで業務上重要な投資セクターとのバランスをとろうとしている。

クロウは「人口、テクノロジー、および社会的発展のトレンドの恩恵を受けるセクター、とりわけ住宅(マルチファミリー)、物流施設、データセンターへの投資 がそれらの利益を享受する」との見通しだ。

ロックダウン中のEコマース成長の恩恵を受けた物流セクターは、コロナ禍に最もレジリエンス(耐性)のある投資セクターと見なされており、アンケートに回答した投資家の81%超が同セクターへの投資拡大を検討、2021年も更に魅力が増す見通しだ。

住宅セクターも取引額回復に大きな役割を果たす位置づけにあり、地域内の主要都市で住宅不足や割高感が継続する中、58%が投資拡大を計画している。

また、アジア太平洋地域で成熟しつつあるオルタナティブセクターにはデータセンターや学生寮が含まれ、投資家の44%が2021年に投資拡大を予定しており、引き続き関心が高い。

クロウは「不透明感が継続しているため、ディフェンシブ投資が今回の景気サイクル中に果たす役割が拡大する。ただし『ディフェンシブ』の定義自体が進化し続け、安定的なオルタナティブセクターに対する投資拡大を含むようになるだろう」と締めくくった。

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連絡先 ステュアート・クロウ

JLLアジア太平洋地域 キャピタルマーケット CEO

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