事例紹介

上海の創薬 事業を支えるライフサイエンス産業パーク

ライフサイエンスセクターにおける世界的な有力拠点としての地位を確立している中国・上海。JLLはグローバルな投資家ネットワークを活用し、ライフサイエンス産業パークの可能性を適正に評価してくれるであろう買い手としてコンコラ(Concora、康達源)を選定した。

スポットライト

売買仲介

場所

アジア太平洋地域

張江メディカルバレー:上海で創薬事業を促進

ライフサイエンスセクターにおける世界的な有力拠点としての地位を確立した上海。国内外の製薬企業の多くが上海に進出し、研究開発拠点を開設している。

このため、ライフサイエンス不動産市場は着実に成長を遂げ、コロナ禍の余波が続く中でも依然として多くの投資家の関心を集めている。2021年以降の取引数は20件に上る。

最近の取引事例としては、シムセレ周浦ライフサイエンスパーク(Simcere Zhoupu Life Science Park ) が挙げられる。

「ライフサイエンス不動産を嗜好する投資家は、ライフサイエンス産業の長期的な成長を確信しており、特にキーテナントの存在や、WALE(加重平均残存賃貸借期間)の長い不動産に関心があります。さらに、ライフサイエンス系企業と投資家の合弁による開発機会も増加する見通しです」

JLL中国東部, キャピタルマーケット責任者, スン・リン(孫翎)
上海のファーマバレー(医薬基地)の中心

中国の大手製薬企業であり、従業員数6,500名超を有すシムセレ・ファーマスーティカルズ・グループ(先声薬業集団有限公司、以下シムセレ)が研究開発の中核拠点として上海の張江周浦地区で開発した同施設は、敷地面積54,466㎡に及ぶ。

シムセレ周浦ライフサイエンスパーク(Simcere Zhoupu Life Science Park )が売却方針を打ち出した際、同施設の専門性を維持し、円滑に取引を進められる売却先の捜索をJLLに依頼した。

同施設は本館を含め17の独立棟で構成され、アメニティ施設や緑地等も有している。各ライフサイエンスパークに入居するテナント企業はAI関連、新薬、医療機器等に関する研究開発が主体となる。

世界の投資家をつなぐJLLのグローバルネットワーク

JLLのライフサイエンス不動産チームは、同セクターを嗜好する国内外投資家との広範なネットワークを生かし、売却先の選定を開始。その結果、同施設の可能性に対して適正に評価すると判断し、アセントインベストメントグループ(Ascent Investment Group)のバイオメディカル産業パーク事業を手がける子会社のコンコラを選定した。

コンコラは、研究施設や医療支援施設、バイオメディカル製造基地が入居する高品質なライフサイエンス不動産の取得・開発を通じて、世界に通用するバイオメディカル産業を生み出すという戦略を掲げている。

さらに、バイオ医薬品スタートアップと高度なパートナーシップを構築し、特殊研究室やインキュベーターシステム等、テナントニーズを踏まえた各種サービスを提供することで、企業支援に取り組んでいる。

JLLのグローバルキャピタルマーケットチームは、上海市場において豊富な知見・ノウハウを蓄積しており、両社の取引合意の迅速な実現を支援した。シムセレ周浦ライフサイエンスパーク(Simcere Zhoupu Life Science Park )では、引き続き同拠点において新薬開発に注力する一方、コンコラは「世界的なバイオ医薬品事業の構築」という目標を支える不動産ポートフォリオを拡充することに成功した。

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