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化粧品会社が専用スペースで輝いて見える理由

美容業界は「化粧直し」の真っ最中だ。各ブランドが百貨店内店舗の拡充を求める中、単独店舗が増加している。

2017.04.18
rise of the standalone beauty store

欧州や米国の各都市で、単独化粧品店が急増している。ニューヨークではディオールやe.l.f.ビューティーが独自のコンセプト・ブティックを開設した。ロンドンでもナーズコスメティクスやエスティローダー等、ハイエンドの開店が相次いでいる。

JLLロンドン リテール ディレクター ダンカン・ギリアードは「消費者は全般的に美に対する意識を高めており、美しさにより多くを投資することを厭わない」と説明する。化粧品業界全体が大きく成長しており、2020年には世界的な売上高が6,750億ドルに達すると予想されている。

しかし同時に、消費者の期待は急速に変化してもいる。ギリアードは「今日の消費者はテクノロジーにせよ新たな試用方法にせよ、ショッピングに没頭したいと考えている」と語る。

変化する小売の世界

多くの老舗化粧品ブランドは、百貨店の店舗でファンを獲得した。しかし、今やその多くが他の選択肢を検討する時が到来していると考えている。ギリアードは「百貨店では完全に没頭できるパーソナライズされたブランド体験を提供できない」と指摘する。独立店舗ならば、ブランドは自由に自己表現し、内装から最新技術まで、顧客のブランド嗜好を育む独自のエクスペリエンスを構築することができる。

例えばディオールでは幅5m近いデジタルスクリーンでファッションショーのバックステージのビデオが上映され、バーバリーでは顧客が最新色をバーチャルで試すことができるデジタル・ランウェイ・ネールバーが設置されている。ギリアードによると「マックのカーナビー・ストリート店は、ブランドの価値を真に反映する視覚的に優れた店舗となっている」という。

新しい関係

有意義なエクスペリエンスの創造は、結局のところ顧客とより深いつながりを築くことに他ならない。消費者にとって、エクスペリエンスの重視は質の高いアドバイスへのアクセスを意味し、特定の商品との長期的関係や、ブランドの能力や商品についての深い知識が得られる。ギリアードは「消費者はブランドとつながりを持つ機会に反応する」と説明する。

ソーシャルメディア、中でもインスタグラムは、化粧品ブランドがその顧客やより広い世界と対話する手段としての重要性を増しており、店舗におけるエクスペリエンスはオンラインの関係構築に不可欠だ。ギリアードは「ロンドンのカーナビー・ストリートのエスティ・エディットでは自撮りの写りが良くなる商品が提供され、店内で写真を撮ってソーシャルメディアでシェアすることが推奨されている」と語る。

新たな成長セクター

多くの化粧品ブランドは女性を対象としており、店舗内のエクスペリエンスもこれに対応しているが、化粧品業界は男性用商品への関心を高めている。フィナンシャル・タイムズ紙によれば、男性用化粧品セクターは2016年に500億米ドルの価値を有し、更なる成長が予想されている。

単独の男性用化粧品店も徐々に開設されており、ニューヨークのマーク・ジェイコブス・ビューティーやシンガポールのビオテルム・オム等の例がある。ギリアードは「これは興味深い展開であり、全般的なシフトに貢献する」と考える。ビースト・イン・セブン・ダイアルズは、ロンドン初の男性専用化粧品店として、選国際的ブランドの商品を提供している。ギリアードは「男性用化粧品セクターの発展に伴いこうした店舗が増える」と予想しているのだ。

このシフトから利益を得ているのは化粧品ブランドだけではない。ファッション等の相互補完的業界にも客足が伸びる可能性がある。ギリアードは「様々な価格帯がある化粧品は間口が広い業界であり、現在目にする多くの単独店舗で革新的でクリエイティブなデザインやテクノロジーが採用されている」と結論付ける。

化粧品に対する消費意欲は高まり続ける兆しが見られ、単独店舗のポートフォリオが拡大するだろう。化粧品店の周辺で訪問者数が増加し、他の小売業者による店内のエクスペリエンスについてのイノベーションが増える等、プラスの波及効果もみられるのではないだろうか。

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