解説

スマートビルが未来のワークプレイスを設計する

不動産は、次に大きな混乱に直面するセクターに含まれる。テクノロジーの発展により、不動産の利用者は今や、ミレニアル世代の労働者からよりITに精通した財務担当役員の世代までが、建物により多くを要求するようになっている。そして、運営会社やオーナーがこうした需要を満たすことを可能にするソフトウェアが登場しつつある。

2017年 08月 31日

政府やスマート都市もその役割を果たしており、新しいデジタル生態系を形成することから派生する膨大な利益を認識している。多くの企業は、この変化を受け入れている。事実、テクノロジーは企業が商品の再編やリモデルを、サービスがユーザー・エクスペリエンスや生産性、サステナビリティをより重視することを可能としている。

IoT(モノのインターネット)の成長やロボット工学、より広範なテクノロジーの進化に刺激されて、オフィスビルは劇的な変化を経て商業的な成功に更に不可欠な存在となっている。

この革命の原動力を理解して変化の波に備えることが非常に重要であり、そうしなければ取り残されるリスクがある。未来は我々が考えるよりもずっと近づいているのだ。

スマートビルの登場

先進的なセンサーシステムや、いたるところでのモバイル端末の採用が、IoTと組み合わさってエネルギー供給の最適化、温度管理、デジタル標識等、建物が提供できるサービスを変容させ、最終的により優れたユーザー・エクスペリエンスを提供する。次世代のビル管理システム(BMS)は、ビルのOSのように機能し、データを取得してビルの設計やパフォーマンスの最適化についての意思決定に使用する。

こうしたシステムは、膨大なデータを生産する。この情報の自動分析は、ビルのパフォーマンスと事業目的のつながりを確固としたものにする。業務上・戦術上のワークプレイス管理は、スタッフの生産性を支えるアルゴリズムに委ねられるだろう。近い将来、ビルは建物利用のデータを個別のスタッフの移動や業務習慣と組み合わせて、スタッフ間のコラボレーションを促し、共同作業を増加させて事業の成功を牽引できるようになる。

より業務的なレベルでは、スマートビルはパワー・オーバー・イーサネット技術を用いて個別端末(テレビ、PC、机上のランプ等)を監視し、必要に応じて遠隔操作でこれらのスイッチをオフにして建物のサステナビリティと費用効率を向上させる。

最も革新的なビルには、既にこうしたソリューションのいくつかが組み込まれている。アムステルダムにあるデロイトのジ・エッジは、引合に出されることが多すぎるかもしれないが、優れた例である。30,000を超えるセンサーが設置され、アプリに接続された従業員は、駐車スペースやデスク、更には同僚をみつけることができる。センサーは温度、動き、照明、二酸化炭素と湿度の監視にも使われている。この結果、比較対象となるオフィスビルよりも電力消費量が70%少ないのである。

データが主導

スマートビルは近々、ビルの設計やパフォーマンスの最適化を超えて、ワークプレイスの設計方法自体に情報をもたらすことになる。センサーはオフィスビル内のスペース利用に関するデータを蓄積し、このデータの分析から業務のパターンや人の行動に関する重要な情報が明らかになる。これによってオフィススペースが最適化され、個人のニーズを核心に据えた事業戦略が策定される。簡単に言えば、ビルが従業員のニーズを満たすために適応するのであり、その逆ではなくなる。

テクノロジーとIoTは、既に企業がパフォーマンスとユーザー・エクスペリエンスを向上する道具としてワークプレイスで受け入れられている。当然ながら、従業員の動きを監視することはプライバシーに関する問題を生じさせる。しかし、企業がこうしたテクノロジーは従業員のユーザー・エクスペリエンスを向上させるために利用されると証明できるならば、その採用は支持されるだろう。労働者はこうしたシステムが勤務中に有形の利益をもたらすと認識すれば、プライバシーについても承認する可能性が高まる。

米国の有力な銀行でも、コールセンターの従業員の生産性に格差がある原因を特定するため、ソシオメトリック・バッジが使用された。最も生産性の高い従業員が一緒に休憩をとることが明らかになると、この銀行は従業員の休憩時間を調整して交流を促し、生産性を10%向上させたのである。

ソシオメトリック・バッジや類似のテクノロジーを大規模に適用できるようになれば、ワークプレイスの設計変更がビジネスに与える影響をリアルタイムで評価することが可能になる。未来のオフィスは、端末やデータで武装し続けるが、更に一歩前進するのである。

ワークプレイスの未来

2030年までに、戦術上・業務上のワークプレイス管理は主に無数のデータセットを分析するアルゴリズムが実施するようになると予想している。ビルは所在に関するデータをコーポレート・データベースの情報やソーシャル・メディアと連携させて、スタッフ間の交流を促すことができるようになるだろう。オフィスは近い将来、あらゆる事業の管理職チームの一員となる。例えば、あるプロジェクトに従事する従業員に別の専門家が近くにいることを知らせて、打ち合わせを提案するのである。職場の電子メールの自動スキャンも、事前に会議を提案することに役立つだろう。

どこで働くかだけではなく、どのように働くかを根本的に変化させる急速な技術発展を目の当たりにする巨大な変容期を目前に控えているのである。近い将来、成功する企業は全てテクノロジーを業務の中核に据えるようになり、我々の職務生活は全く異なったものとなるだろう。

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