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外注ニーズ高まるプロジェクトマネジメント

事業主に代わって建築プロジェクトのとりまとめを行う「プロジェクトマネジメント(PM)」を導入するケースが増えている。コストの適正化を視野にPMニーズが高まっているようだ。

2018年 09月 03日

専門性の高いPM業務

PMが起用される理由は大きく2つ存在する。1つは、開発プロジェクトを担う専門的知識を持った人材が社内にいないためだ。具体的な事例として、某企業の物流施設の新設プロジェクトを紹介したい。物流施設を新規開発する際、施設そのものの開発をはじめ、土地探し、マテハン設備の設計など、専門性の高い業務を積み上げていく必要があり、すべての工程に精通する人材はなかなかいない。まして、10年に1度あるかないかという物流施設の開発という臨時業務であるため、社内にノウハウが蓄積されておらず、かつ専門的な人材を雇用するほどの余裕がある企業は皆無といえるだろう。そのため、外部の専門家にプロジェクトマネジメント業務をアウトソーシングする需要が高まっているのである。PM業務を主とするJLL日本 開発・プロジェクト事業部 松村丈生によると「開発プロジェクトのマネジメント業務は多数の関係者との調整能力、管理能力が求められ、それを社内人材でまかなおうとすると、残業は当たり前。昨今話題の『働き方改革』を実践する意味でもPMを起用するのが得策」と指摘する。

建築コスト高騰への対応策

もう1つの理由は建築コストの高騰だ。松村は「2011年時点の建築コストを100とした場合、2016年には124.5。つまり建築費が1.2倍になっており、現在は更に高騰している」と説明する。内装工事よりも建物躯体の建築費の上昇が著しく、コスト削減を期待してPMを起用するケースが非常に多いという。

従前、開発プロジェクトの依頼先は設計事務所かゼネコンのいずれかだ。どちらも建築における専門家だが、事業主にとって一長一短ある。設計事務所が志向するのは「開発プロジェクトにおける品質の最大化」といえる。つまり「良いものを作る」ことに主眼が置かれ、コスト管理が疎かになりがちだ。例えば、事業主が設計段階における概算費用の見積りを依頼したとする。松村は「設計者からはあとあと設計者責任を追及されないように、リスクヘッジとして『ざっくり』した数字しかでてこない。また、概算見積りと施主予算の金額が大きく乖離していたり、入札時の施工者からの金額と予算が合わないことが少なくない」と指摘する。

ゼネコンに依頼した場合、工事日程や予算管理、設計から施工まで一括で対応してくれるが、プロジェクト全体がゼネコンの支配下に置かれてしまう懸念がある。ブラックボックス化してしまうのが問題だ。

一方、PMの役割はプロジェクトにおいて「第三者」の視点で設計事務所やゼネコンをモニタリングし、事業主の希望に沿った「最適解」を導き出すことにある。事業主の代理としてプロジェクトを監視する役割を担うため、コスト管理もシビアだ。

JLLではこれまで手掛けてきた多種多様な開発プロジェクトをデータベース化しており、設計事務所やゼネコンから提示された見積もりに無駄はないか精査し、交渉ができる体制が整っているのが強みだ。また、グローバル展開する強みを生かし、オフィスビルに留まらず、リテール、物流施設、倉庫、学生寮、ホテルなど、あらゆるアセットタイプを手掛けてきた実績を活かし、円滑なPMを提供している。

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