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物流戦略を成功に導く「総合設計」による物流拠点開発

ニューエコノミー関連のテナント企業へのシフトやコロナの影響からの変化に伴い、ワンストップ物流など、新たな需要が顕在化している中、物流戦略を成功に導く「総合設計」や戦略策定に欠かせない物流市場のトレンドやインサイトについて解説する。

2018年 05月 23日

物流戦略に欠かせない市場インサイト

ここ数年、ニューエコノミー関連のテナント企業へのシフトやコロナの影響から変化した消費者ニーズにより、物流市場のトレンドが様変わりしているJLLがアジア太平洋地域の物流不動産の主要トレンドについて調査・分析したレポートでは、アジア太平洋地域の賃貸物件契約内訳にて、製造、商業、鉱業・建設等のそれぞれの2019-2020年のカテゴリー割合の中で「ロジスティクス・物流」が約半分を占める48%となり、2017-2018年の35%と比べ、急成長を続けている。変化する消費者変化に適応し、Eコマース等のニューエコノミー系の業界へとシフトする企業が多いことから、ロジスティクス・物流のカテゴリーが急成長していると窺える。

JLLレポート「アジア太平洋地域の物流不動産、新たな成長への道筋」より抜粋

 

物流市場のトレンドやインサイトを把握し、全体像を理解した上で、物流戦略の策定を進めることが成功を掴む鍵となる

また、アジアの消費者向けのEコマースの売り上げは、2020-2025年までのCAGR(年平均成長率)で8.2%増加し、1兆4,400億ドルから推定2兆1,200億ドルに拡大するとのインサイトが述べられている。これと同じ期間のセグメント別のCAGRでは、ファッションが9.6%増加。次いで、玩具・趣味・DIYが9.4%増加、食品・パーソナルケアが8.9%増加と予想されている。これらの物流市場のトレンドやインサイトを把握し、全体像を理解した上で、物流戦略の策定を進めることが成功を掴む鍵となるだろう。

JLLレポート「アジア太平洋地域の物流不動産、新たな成長への道筋」より抜粋

 

物流の需要を牽引するEコマース

コロナによるニューノーマルな生活が当たり前となり、ヒトの行動パターンやニーズが変化、Eコマースが拡大し、今では物流業界を牽引する程の急成長を遂げた。Eコマースのテナント企業の増加により、マルチテナント型の大型施設やBTS型の物流施設等、様々な物流施設が利用されている中、成否を分けるのは物流戦略であると考えられる。物流をコストとして考えるのではなく、利益を生み出すものとして戦略を策定することで、循環も大きく変わってくる。物流センターを増やす等の物流拠点の開発による先行投資は、企業としての利益に直接的に結び付いてくるからこそ、入念な物流戦略が必須となってくる。

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とりまとめが困難な物流戦略の問題点

物流施設の再整備に向けて物流戦略の立案、それに合致した立地・拠点規模の選定、業務効率を最大化するマテハン設備の設計など、長期間にわたり専門性の高い諸作業を積み重ねていくことになるが、経営コンサルタント、設計会社、マテハンメーカー、リーシング会社など、多くの協力会社が関わってくる

ステークホルダーが増えるほど、施主がプロジェクト全体を取りまとめるのは骨が折れ、さらに協力会社が自らの「専門性」を全面に打ち出した個別提案を精査し、最適解を導き出さなくてはいけない。

企業の物流戦略において多数のコンサル実績を有するJLL日本 サプライチェーン&ロジスティクスコンサルティング事業部 事業部長 鈴木博之は「以前の日本企業には物流戦略の専門チームを内製化していたが、手掛ける案件自体が少なく、アウトソーシングが主流になった。そのため、社内にノウハウが蓄積されず、協力会社の言いなりになる可能性は決して低くない」と問題点を指摘する。

そもそも、物流拠点の開発には数十億円~数百億円の投資が必要になるが、その開発費が妥当であるかどうか、同じく過剰設備かどうかさえ判断できないという。

物流拠点開発の複雑な諸作業を一気通貫で対応

物流施設は30年、40年使い続けるため、経営戦略の土台を担うものでなければいけない。事業の拡張・縮退に対応できる柔軟性のある物流拠点を提供できる

では、物流戦略の見直しはいかに進めていくべきだろうか。鈴木は物流戦略策定から実行まで一貫して支援する「総合設計」のメリットを強調する。JLLが提供している「総合設計」は物流戦略の立案からマテハン設備の設計、稼働後の生産性向上支援コンサルまで、物流施設立ち上げに関わる一連の業務を一気通貫で対応する。

前述した通り、協力会社が複数存在すると「船頭多くして船山にのぼる」状態に陥る可能性が高い。一方、総合設計はJLLが事業主と共に事業全般を監理し、クライアントの業務効率を最大化することを目的とする。システム系コンサルティング会社等にありがちなシステム導入を前提とした戦略の立案等は行わない。

また各専門分野において豊富な実務経験を有する少数精鋭のプロフェッショナルでチームを編成。調査業務に時間を要することなく、迅速かつ的確な意思決定が可能となり、円滑にプロジェクトを進めることができる。鈴木は「物流施設は30年、40年使い続けるため、経営戦略の土台を担うものでなければいけない。事業の拡張・縮退に対応できる柔軟性のある物流拠点を提供できる」と自信のほどをのぞかせる。

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