[ジャパン プロパティ ダイジェスト 2018年第3四半期] 空室率 東京Aグレードオフィスは1.5%、大阪Aグレードオフィスは1.1%

総合不動産サービス大手のJLL(本社: 東京都千代田区、代表取締役社長: 河西 利信)は日本のオフィス、リテール(店舗)、ロジスティクス(物流)、ホテル市場の空室・賃料・価格動向、需要・供給動向及び12ヵ月予測をまとめた調査レポート「ジャパン プロパティ ダイジェスト(JPPD)2018 年第3四半期」を発表しました。セクター別の概要は、以下の通りです。

2018年11月20日

東京のAグレードオフィス市場
空室率:
1%台へと低下

空室率は1.5%、前期比0.5ポイント低下、前年比1.4ポイント低下となり、1%台へと低下した。新規供給が比較的大量となったにもかかわらず、空室率は中心業務地区全体で低下し、とりわけ赤坂・六本木、丸の内・大手町にて大幅な低下がみられた。

賃料:
26四半期連続の上昇

月額坪当たり37,660円(共益費込)、前期比1.5%上昇、前年比2.9%上昇となり、26四半期連続で上昇、上昇ペースも加速に転じた。中心業務地区全体で賃料が上昇し、とりわけ新宿が上昇を牽引した。

価格: 
賃料上昇ペースの加速と投資利回りの低下を反映して上昇

価格は前期比4.8%上昇、前年比5.7%上昇した。賃料の上昇ペースが加速したことと7四半期ぶりに低下した投資利回りを反映した。

12ヵ月見通し: 
賃料、価格ともに緩やかに上昇する見通し 

賃貸市場では、旺盛な需要が2018年の新規供給を吸収し、さらに2019年供給予定の予約契約率も80%を達成していることから、空室率の上昇はより限定的となり、賃料は概ね安定的に推移する見通し。投資市場では、投資利回りの低下余地はきわめて限定的となっているものの、価格は緩やかに上昇すると予測される。

大阪のAグレードオフィス市場
空室率:
7四半期ぶりに上昇

空室率は1.1%、前期比0.2ポイント上昇、前年比1.5ポイント低下した。新規供給の空室を反映し、7四半期ぶりに上昇した。

賃料: 
2009年第1四半期以来初めて2万円台

月額坪当たり20,267円(共益費込)、前期比2.0%上昇、前年比11.0%上昇となり、17四半期連続で上昇した。上昇ペースは減速したものの引き続き前年比2桁台上昇の強い水準を示し、2009年第1四半期以来初めて2万円台を回復した。

価格: 
20四半期連続上昇

価格は前期比7.5%上昇、前年比27.5%上昇となり、20四半期連続で上昇した。賃料の上昇と投資利回りの低下を反映した。

12ヵ月見通し:
賃料と価格は引き続き上昇

賃貸市場は、需要は堅調であるものの2020年まで新規供給の予定はなく、限定的となる見通しであることから、空室率は一層低下し、賃料の上昇モメンタムを下支えする見通し。投資市場では、投資利回りは一層低下する可能性があり、これと賃料上昇を反映して価格は上昇すると予測される。

JLLリサーチ事業部長 赤城 威志は、次のように述べています。

「景気が緩やかに回復する中、設備投資は増加、雇用情勢も着実な改善が続いています。こうした状況の中、東京と大阪のAグレードオフィス市場におけるテナント需要は引き続き堅調となっています。東京では、今後の供給予定は潤沢ながら予約契約率は2019年まで好調であり、二次空室の消化も順調となる中、空室率は1%台へと低下し、賃料の上昇ペースは加速に転じました。今後は、空室率の上昇による賃料への下押し圧力はより限定的となるものとみられます。大阪では、4四半期ぶりの新規供給が好調な予約契約率で竣工、一方既存ビルでは空室率は一層の低下が観測され、賃料の年間上昇率は2四半期連続で2桁台を記録。平均賃料は2009年第1四半期以来初めて2万円台に回復しました。今後は、供給が抑制されることから、賃料の上昇モメンタムは継続する一方で、市場全体の賃貸借面積の拡大ペースが減速する可能性があります。投資市場では、投資家の投資意欲は旺盛となっており、投資利回りの一層の低下が各セクターにて観測されました。今後は、投資家心理に長期金利の動向が与える影響に注意する必要があります。」

東京のリテール(店舗)市場
賃料:
前期比横ばい

賃料は月額坪当たり79,613円(共益費込)、前期比横ばい、前年比0.2%上昇となった。1階賃料、空中階賃料とも高位で安定的に推移した。                                                     

価格:

価格は前期比3.5%上昇、前年比6.2%上昇となった。機関投資家や不動産会社などの伝統的な投資家による、投資戦略の調整等を反映して投資利回りは4四半期ぶりに低下した。

12ヵ月見通し:
消費の見通しはポジティブながら賃料・価格の上昇は限定的

賃貸市場では、堅調な需要に対して比較的限定的な供給が続くことから、引き続き賃料は高い水準で安定的に推移する見通し。投資市場では、これ以上の投資利回りの低下は見込まれにくいことから、価格は賃料の動きを反映して概ね安定的に推移する見込み。

東京のロジスティクス(物流)市場
空室率:
新規供給の空室を反映して上昇するも5%台

東京圏の空室率は5.1%、前期比0.7ポイント、前年比0.9ポイント上昇した。東京ベイエリアの空室率は前期比0.1ポイント上昇、前年同期比1.6ポイント低下の0.1%、内陸エリアは前期比1.0ポイント上昇、前年同期比1.9ポイント上昇の7.9%となった。

賃料:
緩やかに上昇

東京圏の賃料は月額坪当たり4,228円、前期比0.3%上昇、前年比0.7%上昇となった。東京ベイエリアで新規供給された賃料水準が上昇を牽引した。東京ベイエリアは前期比1.6%上昇、前年同期比2.3%上昇、内陸エリアは前期比0.3%下落、前年同期比0.8%上昇した。

価格:
緩やかに上昇

東京圏の価格は前期比2.7%上昇、前年比2.8%上昇となり、緩やかな賃料上昇と投資利回りの低下を反映した。

12ヵ月見通し:
投資利回りの低下を背景に価格は上昇

賃貸市場では、堅調な需要が新規供給を吸収しており、竣工時稼働率も好調となっていることから、大規模供給により懸念された空室率の上昇は限定的となる見通し。一方、賃料は今後の供給予定の多くが内陸エリアに立地していることを反映して、全体平均が小幅ながら下落する可能性がある。投資市場では、投資利回りの低下を反映して、価格は上昇基調を維持すると予測される。

東京のホテル市場
需要:
インバウンド需要の拡大が旺盛な宿泊需要を創出 

2018年1月-8月の訪日外国人客数は前年同期比12.8%と大幅に増加し、2,100万人を記録した。アジアの経済の中心地であり、旅行先としても人気が高い東京は、ビジネス客、レジャー客、双方からの宿泊需要を受け入れている。

2018年1月-6月の都内延べ宿泊者数は前年同期比2.8%増の27,300万人となった。全宿泊者数の36.2%を占める外国人宿泊者数は前年同期比6.9%増、日本人宿泊者数は横ばいに推移している。インバウンド客の貢献により、宿泊需要の基盤は引き続き堅固である。

供給:
4ツ星及び5ツ星ホテルの新規供給は無し 

2018年第2四半期に続き、第3四半期もラグジュアリーホテルの新規供給は無かった。2018年の新規開業ホテル計画としては、10月1日開業の「プルマン東京田町」(客室数143室)が挙げられる。2020年東京オリンピック・パラリンピックを見越して、複数のラグジュアリーホテルの新規供給が予定されている。このうち代表的な計画としては、「ホテルオークラ東京本館」が2019年9月に「The Okura Tokyo」としてリニューアル開業するほか、2020年開業予定の「フォーシーズンズホテル大手町」、虎ノ門および銀座でそれぞれ開業予定の「エディションホテル」が挙げられる。

運営パフォーマンス:
ADR・客室稼働率の改善がRevPAR成長に貢献 

東京の5ツ星ホテルの運営パフォーマンスは、1日当り販売可能客室数当り宿泊売上(RevPAR)が2018年初来8月までの累計で前年比8.9%の増加となった(出典:STR)。客室稼働率の上昇がパフォーマンス改善に貢献した。

売買:

第3四半期も東京の5ツ星ホテルの売買取引は見られなかった。投資家の投資意欲は強い一方で、全国的に売却案件が少ない状況が続いている。

12ヵ月見通し:
好調なパフォーマンスが続く見込み

インバウンド客の宿泊需要に支えられ、東京の5ツ星ホテルマーケットではパフォーマンスの改善が進むと見込まれる。大阪に上陸した台風21号や北海道胆振東部地震の発生は日本のホテル市場おける自然災害のリスクを浮き彫りにした。しかし、インフラおよび訪日客数の回復状況を鑑みると、今回の震災によるホテル運営パフォーマンスやホテル投資市場への悪影響は想定しにくい。 

JLL 取締役 執行役員 ホテルズ&ホスピタリティ事業部長 沢柳 知彦は、次のように述べています。

「2018年第3四半期は台風や地震など自然災害が頻発し、それらが国内ホテルマーケットのリスクであることが改めて認識されました。都内では、継続的に増加しているインバウンドを背景にホテル運営パフォーマンスの改善が続いていますが、ここ数年で客室単価が急上昇した結果、国内ビジネス客や低予算の外国人レジャー客に対する客室単価の更なる向上は期待しにくく、3ツ星ホテル以下のセグメントは成長ペースが伸び悩み始めています。ホテル投資マーケットでは、昨年までに大型ホテル売買が成立した反動と良好な運営マーケットを背景にホテル売却を検討するオーナーが多くないことから、2018年の売買金額・件数はともに伸び悩んでいます。一方で、今後は販売用不動産として新規開発された都心部ビジネスホテルは竣工期を迎え、売買件数の積み上げに寄与しています」

【補足】
本レポートの日本での調査対象地区は次の通りです。
東京CBD(中心業務地区):千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区
大阪CBD(中心業務地区):中央区、北区
東京リテール:銀座と表参道のプライムリテールマーケット
東京ロジスティクス:東京圏(東京都、神奈川県、千葉県、埼玉県、茨城県の一部)の新型物流施設
東京ホテル:特段の説明がない限り東京所在の5ツ星ホテルマーケット


JLLについて

JLL(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に関わるすべてのサービスをグローバルに提供する総合不動産サービス会社です。JLLは不動産市場を再考し、皆様のアンビション実現を支援する不動産の機会やスペースを提供するとともに、お客様、人、コミュニティにとってよりよい明日を築くことを目指します。フォーチュン500に選出されているJLLは、2018年9月30日現在、従業員約88,000名を擁し、世界80ヵ国で展開しています。JLLは、ジョーンズ ラング ラサール インコーポレイテッドの企業呼称及び登録商標です。jll.com

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