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News Release

2011年第1・四半期不動産調査レポートを発表

オフィス賃料は下げ止まりの様相


 ジョーンズ ラング ラサール株式会社(本社 東京都千代田区永田町、代表取締役 濱岡 洋一郎)はこのたび、東京を中心とした不動産市場の需給、空室状況、賃料・価格動向等を独自に分析するとともに、12ヶ月の予測をまとめた調査レポート『2011年第1・四半期アジア・パシフィック・プロパティ・ダイジェスト日本版(APPD)』を発表しました。

 2011年第1・四半期の東京オフィス市場の概観として、1) Aグレードオフィスビルの坪当たりの平均月額賃料は、前期比1.6%下落、前年同期比5.4%下落の27,505円となった。2010年第2・四半期以降、下落率は1%前後で推移しており、下げ止まりの様相を呈している、2) 空室率は、前期比0.1ポイント上昇とわずかに悪化したものの、前年同期比では0.9ポイント低下し、5.9%となった、3) 未曾有の地震に際し、各企業は事業継続計画(BCP)の見直しを行っており、本社機能の分散が検討されているほか、耐震性能、自家発電装置の有無など、ビルの選定基準に「Flight to Safety (安全への逃避)」「Flight to Quality (質への逃避)」の動きが認められる、4)「放射能漏れパニック」とも呼べる外資系企業を中心とした地方都市への移転は、一時的措置である事例がほとんどであるため、長期的に見れば空室率に大きな影響を与えないだろう。しかし、地震の余波が残る中でテナントは、拡張に対して様子見姿勢をとることが予想されるため、賃料は緩やかな下落基調で推移すると予測する。但し、被災地の復興を優先する中、建機や建材の流通が停滞して新規供給が遅延した場合、賃料に上昇圧力がかかる可能性がある――としています。
 
 2011年第1・四半期の大阪のオフィス市場の概観として、1) Aグレードオフィスビルの坪当たりの平均月額賃料は、前期比0.7%下落、前年同期比5.7%下落の10,888円となった。11四半期連続の下落となったものの、下落率は3四半期連続で1%前後となっており、小康状態を示している、2) Aグレードオフィスの空室率は、前期比0.4ポイント低下したものの、前年同期比では0.7ポイント上昇し、7.4%となった、3) 東北地方太平洋沖地震と津波に続いて起こった原発事故を背景として、外資系企業を中心として、東京に所在する本社機能を西日本の都市へ一時的に移転する動きが広がった。第1・四半期末時点で成約にいたった事例数は限られていたものの、東京と同様に耐震性能や自家発電装置の有無等、ビルの選択基準に「Flight to Safety (安全への逃避)」「Flight to Quality(質への逃避)」の傾向が認められた、4) 2013年に大量供給を控えているものの、2011年と2012年の供給量は控えめであることから、供給による空室率の悪化懸念は限定的である。また、未曾有の地震の直後に伸びた移転需要は一時的措置を反映した場合がほとんどであるものの、今後、事業継続計画(BCP)の見直しの一環として本社機能分散の動きが広がれば、停電や地震等に対する「安全性」の観点から、大阪CBDのAグレードオフィス需要が増加する可能性がある。しかしながら、既に空室率は高い水準にあり、大地震による生産や観光等への影響を考慮すると、賃料は上昇基調を回復するにはいたらず、概ね緩やかな下落が継続すると考えられる。価格もこれに伴い緩やかな下落基調で推移すると考えられる――としています。
 
 2011年第1・四半期の東京のロジスティクスマーケット(物流市場)については、1) 東京ベイエリアに所在する大型物流施設の平均賃料は、月額坪当たり5,866円となり、前期比1.0%の下落、前年同期比3.0%の下落となった。下落率は2009年第4・四半期以降、1%前後に減速し、下げ止まりの様相を呈している、2) 2011年第1・四半期末時点で、地震が東京ベイエリアのロジスティクスマーケット全体に与えた直接的な影響は比較的限定的である。震災に関連した一時的な物流センター設立に対する需要も見込まれるものの、生産活動の減少が見込まれる中で、テナントは拡張に対して慎重姿勢をとることが予想される。したがって、今後需要は停滞し、賃料は緩やかな下落基調が継続するだろう。ただし、建材の供給を被災地に優先的に行うことで、予定されている新規供給が遅れた場合には、賃料に上昇圧力がかかる可能性がある――としています。
 
 また、J-REIT市場については、1) 2011年第1・四半期末時点でJ-REITの上場銘柄数は35、時価総額は3.5兆円、平均利回りは4.9%だった、2) 震災による金融市場の混乱が要因となって大型増資を中止したJ-REITもあったが、物件取得の延期は、大部分が物的損害を確認する調査によるものであった、3) 2011年に入ってから、J-REITによる物件取得の動きは加速し、取得総額は2月末時点までに900億円超となった。3月は1,100億円程度となり、3月末時点で約2,000億円となっている。これは前年の取得総額の40%程度に相当する。3月に取得された物件のほとんどは2月末までに取得が決定していたため、地震の影響はほとんど顕在化していない――としています。

 弊社リサーチ&アドバイザリー部門の責任者でローカル・ダイレクターの赤城威志は、「今年に入り活発化しつつあったテナントの動きが震災により、慎重姿勢へと転換し、東京Aグレードオフィス賃料の底打ち反転時期は2012年へと先延ばしになった。一方の売買市場に目を向けると、海外投資家から見た世界の不動産市場における日本の位置付けはなんら変わっていない。むしろ競合が少なくなっていることが優良物件取得のチャンスとも考えられ、今回テナント移転先として注目を集めることとなった大阪を含め、新たな投資機会が訪れるだろう」としています。
 
 アジア・パシフィック地域経済の特徴としては、1) 2010年の経済成長率の見込み値は7.0%増であり、世界の他地域の経済成長率見込み値である約3%増を大きく上回っている。これまでに中国、香港、シンガポール、韓国等の国々が2011年第1・四半期のGDP成長率を発表しており、全般的に前四半期を若干下回る値となっている、2) 自然災害やインフレ圧力、中東の混乱にも関わらず、域内のほとんどで企業活動は依然として旺盛である。日本とニュージーランドの2カ国が重大な短期的課題に直面しているが、いずれも最近発生した大震災が主な原因である、3) 多くの国々でインフレ圧力の高止まりまたは強まりが見られる。域内のほとんどの中央銀行は利上げその他の引き締め政策を実施中であり、一層の引き締めが行われる可能性が高い、4) アジア・パシフィック地域の経済は、2011年を通じてアウトパフォームを続ける見通しであるが、外部需要と政府支出の減少を要因として、成長率は緩やかとなるであろう、5) 全般的な成長見通しは依然としてポジティブであるものの、今般の諸々の災害は地域の経済成長を低迷させるリスクを浮き彫りにした。追加的なリスクとしては、欧米で進行中の財政危機、中東の社会不安、インフレと金利上昇、通貨とコモディティ価格の変動等が挙げられる――としています。
 
 アジア・パシフィック地域の不動産市場の現状としては、1) 企業の業況と消費者の景況感が改善していることに牽引されて、ほとんどの市場でファンダメンタルズの改善が続いている。2011年第1・四半期は、オフィス需要の拡大を受けて、全般的に稼働率が改善した。例外は日本であり、東京では震災の影響により拡張需要が減退、一部企業がオフィス戦略を再考している、2) アジア・パシフィック地域内のほとんどの賃貸市場は、オーナー有利に傾いており、賃料が上昇している。投資活動も引き続き堅調であり、今後さらなる価格の上昇が予測される、3) オフィスセクターに関しては、2011年第1・四半期、アジア・パシフィックのTier1都市で新規供給されたAグレードオフィスビルの面積は150万㎡であり、中国とインドにその80%超が供給された、4) リテールセクターでは、域内のほとんどの市場で、労働市場と消費者景況感が好調であり、小売業者の需要を支えている。特に中華圏において、賃貸需要が旺盛となっている。インドや一部東南アジア市場の小売業者はより慎重姿勢を取り、オーストラリアでは2011年第1・四半期も引き続き市場が低迷している、5) 住宅セクターでは、中国と東南アジアの高級住宅市場の賃貸活動は、概ね横這いとなった。香港では、日本からの一時的移転のための短期契約もあり、需要が増加した、6) インダストリアル市場は、輸出及び小売売上高の好調に支えられて2011年第1・四半期も改善を続けている。中華圏とオーストラリアでは賃料上昇が続き、シンガポールでは従来型とハイテク工業スペースのいずれも最大の賃料上昇率を記録している――としています。
 
 アジア・パシフィック地域の投資市場については、1) 不動産市場のファンダメンタルズと信用力の回復に支えられ、商業用不動産の直接投資総額が増加し続けている、2) 2011年第1・四半期の域内投資総額は前四半期比11%増、前年同期比14%増の合計270億米ドルとなっている。当四半期の投資市場を率先したのは日本で、J-REITやプライベート・エクィティによる旺盛な投資が見られたが、これは震災前に行われた投資である、3)域内の投資総額は2011年通年で1,000億ドルに達すると予想されている(前年比15~20%増)が、短期的には日本への投資総額の減少が予測されているため、これが域内の投資総額にマイナスの影響を与える可能性もある、4) 2011年を通して、北アジア以外のほとんどの市場では、市場のファンダメンタルズと投資家の景況感の改善が続くため、一層価格が上昇すると予想され、香港、シンガポール、中国のTier1都市がこれを牽引する見込みである(通年で前年比10~25%上昇)――としています。
 
※6月7日発表時に下記誤りがありましたことをお詫びし訂正いたします。
 
東京Aグレードオフィスマーケット
1)坪当たりの平均月額賃料
 
誤       29,505円       
訂正後 27,505円
2)2011年第1四半期の賃料
誤    前期比1.3%下落
訂正後  前期比1.6%下落
誤    前年同期比4.4%
訂正後  前年同期比5.4%

ジョーンズ ラング ラサールについて
ジョーンズ ラング ラサール(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に特化したプロフェッショナルなサービス会社で、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、国内外を問わず世界中で広範囲な知識を有する専門家が、不動産に関するサービスを提供しています。グループの2010年度の売上高は約29 億ドルで、全世界の60 カ国、約1,000都市を網羅する185の事業所で業務を展開しています。 また、プロパティサービス及び企業向けファシリティマネジメントサービスにおける世界のリーディング カンパニーとして、約1 億6,700万平方メートル(約5,060 万坪)の不動産を管理しています。 ジョーンズ ラング ラサール グループにおいて不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネージメントは、総額約430 億ドルの資産を運用しています。
ジョーンズ ラング ラサールのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在では13ヶ国、78 事業所で約19,400名のスタッフを擁しています。詳細な情報はホームページをご覧下さい。
www.joneslanglasalle.co.jp