Skip Ribbon Commands
Skip to main content

News Release

不動産透明度調査(2010年) 調査対象国の中でアジア・パシフィック地域が最大の改善を見せる

オーストラリアがカナダを抑えて世界で最も透明な市場に躍進


 2010年9月15日 シンガポール発 ‐ プロフェッショナルな総合不動産サービス会社であるジョーンズ ラング ラサール社(本社 イリノイ州シカゴ、社長兼最高経営責任者コリン・ダイアー、NYSE: JLL)とJLLグループの世界有数の不動産投資顧問会社であるラサール インベストメント マネージメント社(本社 イリノイ州シカゴ、最高経営責任者ジェフ・ジェイコブソン)は、この度、最新の「不動産透明度インデックス 2010」(以下「インデックス」)を発表しました。
 
 本インデックスでは、世界81市場における不動産市場の透明度を比較しており、それによると、2008年に行われた前回調査以降、不動産の透明度の改善が鈍化したことが明らかになりました。これは、過去2年間、世界的な金融、経済、不動産市場の混乱が市場の動向に影響を与えたことにより、不動産市場のプレイヤーが市場の発展よりも自らのサバイバルに専念していたためと見られます。2008年-2010年の2年間での透明度インデックスの調査対象となった81市場の不動産透明度の平均改善率は、2006-2008年、2004-2006年との比較で半減しました。その中で、オーストラリアを筆頭とする、アジア・パシフィック地域が地域レベルで最大の改善を見せたことは注目に値します。
 
 インデックスによると、今回オーストラリアがカナダを第2位に抑えて世界で最も透明度の高い市場となり、英国が第3位に浮上しました。しかし、従来から透明度の最も高い市場であるオーストラリア、ニュージーランド、英国、米国、カナダは、今や複数のヨーロッパ市場に追い上げられています。今回、スウェーデン、アイルランド、フランスが、世界で最も透明度の高い市場の仲間入りを果たしました。また今回、透明度が世界で最も改善した国はトルコとなりましたが、これは同国の規制と法制度がEU加盟国の基準並みに引き上げられたことに起因します。

 

 
 不動産透明度の項目のうち、過去2年間の不動産市況の厳しさの影響を最も受けたのは、「取引プロセス」の透明度でした。さらに驚くべき変化としては、不動産に関する「規制と法制度」の透明度の進展の鈍化が見られた点が挙げられます。しかしながら、「マーケットの基礎的データ」の質と量は引き続き改善しており、世界各地のほとんどの市場でこの分野に関する透明度の急上昇を支えています。
 
 しかしながら、ほとんどの市場では透明度は僅かながらも向上し続けており、明るい兆候も多く見られます。改善幅が大きかった15市場のうち、9市場はヨーロッパ、6市場はアジア・パシフィック地域の市場でした。透明度の改善幅が第1位となった市場はトルコであり、中国、インド、ポーランド、ポルトガル、ルーマニア、ギリシャ、ハンガリーにおいても進展が見られました。比較的透明度が高いドイツ、アイルランド、デンマーク等の市場もランクを上昇させています。
 


 
アジア・パシフィック地域

 アジア・パシフィック地域では、過去2年間で透明度が最も広範囲にわたり改善しました。オーストラリアとニュージーランドが同地域で最も透明度の高い市場であり、シンガポールと香港がすぐ後に続いています。透明度の上昇は、海外投資家による直接投資の増加と関連しており、これは情報の自由な交換と現地不動産法令の公平かつ一貫性のある適用を強く促す効果があります。同地域内で最も大きな改善が見られた市場はインドと中国であり、この傾向はTier2都市やTier3都市へも波及しています。アジア・パシフィック地域では引き続き特異な事例として、日本と韓国の2市場では、その経済の成熟度と比較すると透明度が低くなっているという状況が見られます。
 
 ジョーンズ ラング ラサール社アジア・パシフィック地域の最高経営責任者(CEO)であるアラステア・ヒューズは、「アジア・パシフィック地域が不動産市場で最も透明度の高い地域となったことを嬉しく思います。また、取引プロセスの透明度においても同地域は全般的に改善を見せています。国際的な不動産投資家は資金の安全な投資先の把握に高い関心があり、また企業テナントは世界での運営条件について理解する必要があります。このインデックスは海外市場で活動する投資家と企業にとっては、それぞれの市場での課題を予想する際の助けとなる一方、政府機関や業界組織には、自国市場の透明度改善に取り組む上での判断基準を提供します。賃料の安定/増加を含む市場ファンダメンタルズの着実な改善は、当地域での投資活動を増加させる支えとなるでしょう。アジア・パシフィック地域は、国内外の広範な成長を背景に2010年はグローバル経済よりも早い成長を遂げると予想されています。しかし、地域内での一段の金利引き上げが行なわれた場合は、投資家の取得意向に影響が出ることが考えられます」と語りました。
 
 同地域のリサーチ部門ヘッドであるジェーン・マレー博士は、「アジア・パシフィック地域における最も注目されるべき改善点としては、オーストラリアが世界で最も透明度の高い市場となったこと、そして、中国とインドにおいて透明度が大幅に改善したことがあげられます。中国とインドにおける大幅な改善は、主にデータの充実度が向上したことや規制変更が継続的に行われていることによります。いずれの国でも不動産市場の活況が透明度の改善に大きく貢献しており、官民両セクターで透明度を一層向上させるための重要な動きが見られます。グローバル企業や投資家はマーケットの基礎的なデータについてより精緻な情報を求めるようになっており、政府機関や規制当局は規制と法制度の面で緩やかながらも着実な進歩を遂げています。インドのTier1都市からTier3都市の各市場は、今や中国よりも若干ながら透明度が高いと考えられています。しかし、不動産市場の透明度を総合的に見ると、アジア・パシフィック地域の二大新興国経済の透明度は依然として大差無い水準にあります」としています。
 
 また、マレー博士は、「サブ・インデックスの分類のうち、アジア・パシフィック地域では、主に中国、インド、マカオにおける透明度の向上によって『マーケットの基礎的データ』のスコアが引き続き着実に上昇しています。アジア・パシフィック地域では『規制と法制度』の面でも透明度が引き続き上昇し、中国とインドだけではなく東南アジア全体で改善が見られました。2008年から2010年にかけて、景気後退と金融市場の影響により、多くの市場において透明度の改善が制限を受けました。例えば、ここ数年のアジアにおける不動産投資信託(REIT)セクターの堅調な成長は透明度の早期改善に貢献しましたが、2008年以降市場は停滞しており、主要市場での新規上場は数件に限られています。また過去2年間、同地域全体では不動産投資件数も大幅に減少しています」と述べています。
 
 また、「日本と韓国の両国は経済発展の度合が比較的高いにも関わらず、不動産透明度は意外にも低くなっています。日本のランクは世界で第26位と、他の主要先進国経済を大きく下回っており、一方、韓国のランクは世界で第42位であり、中国やインドのTier1都市と並び透明度『中』の水準となっています。両国は共通して、マーケットの基礎的データが比較的少なく、共益費に関する透明度が低くなっています」とマレー博士は述べています。
 
 ジョーンズ ラング ラサール社日本のリサーチ&アドバイザリー部門ヘッドである赤城威志は、「日本は2004年から2006年に大幅な透明度の改善が見られましたが、前回の2008年に続き、2010年の調査においても透明度はわずかな改善に留まり、ランクとしては連続して26位の『中高レベル』となりました。この主な理由としては、世界金融危機の影響による全般的な売買市場の低迷、特にこれまで市場透明度の改善を牽引してきた海外投資家とJ-REITによる売買が急減したことが、マーケットデータの充実度改善の停滞につながっていることが挙げられます」と指摘しています。
 

 
ヨーロッパ
ヨーロッパ各市場の透明度にはばらつきが見られます。トルコや一部の中・東欧諸国では市場の国際化が進み、規制と法律環境がEU内の経済主要国に近づくに伴って順調な改善が見られました。事実、より透明度の高い国である中・東欧諸国(ポーランド、チェコ共和国、ハンガリー)は、今や西ヨーロッパのイタリアやオーストリア等の不動産透明度の向上に遅れをとっている市場に追いついています。一方、ロシアとウクライナでは、2010年は透明度の向上が停止状態にあり、両国における不動産市場の下落の厳しさを反映して2008年の大幅な向上とは対照的な結果となっています。
 
南北アメリカ大陸
 北米・中南米市場では、透明度の変化は僅かでした。同地域で最も透明度の高い2市場である米国とカナダ、また、中南米市場のほとんどにおいても改善はほとんど見られませんでした。カナダと米国は引き続き同地域で最も透明度の高い地域(Tier-1)となり、また世界でも最も透明度の高い市場となっています。ブラジルでは目立った改善が見られましたが、2006年から2008年にかけて透明度が急低下したベネズエラでは2010年に更なる低下が見られました。
 
中東及び北アフリカ(MENA)
 中東及び北アフリカ(MENA)地域の一部市場は、2008年版透明度インデックスでは透明度を大きく向上させて注目されましたが、2010年版では市場の透明度が低下する結果となりました。パキスタン、クウェート、ドバイ、バーレーンを含む複数のMENA市場で、透明度が低下しました。ドバイは同地域が透明度向上に苦しんでいる状況を示す典型例ですが、同時に重要な規制改革を主導しており、これにより今後数年間にかけて市場の透明度が改善する可能性があります。
 
不動産ローン市場の透明度
 過去2年間に世界を襲った金融危機を勘案して、2010年版透明度インデックスでは不動産ローン市場の透明度について着目し、特に商業用不動産ローンに関するデータ(組成、残高、満期、デフォルト)の質と量、不動産ローンが銀行の貸借対照表上でどの程度包括的に監視されているかについて評価しています。ローンに関する透明度は、地域ごとに、また先進国と途上国の間で大きく異なっています。多くの先進国では、当局の監督プロセスは比較的よく発達しているものの、商業用不動産ローン市場に関するデータの充実度は低くなっています。商業用不動産ローンに関する規制の一貫性と包括性についてのスコアが最も高かった国は、オーストラリア、アイルランド、カナダでした。途上国では、両項目についてのスコアは「中」以下となっています。
 
 将来的には、当然ながら当局は同セクターの債務負担能力の評価を試みるため、より多くの開示が行われる重要性を強調して、商業用不動産の信用度を計測すると見られます。こうした措置がとられるにつれて、不動産ローン、ひいては不動産売買市場全般の透明度が上昇するものと思われますが、不動産特有の市場循環性が排除されることはないと思われます。透明度の上昇は、不動産を不確実性の世界(未知のリスクや結果)からリスクの世界(認識されたリスクや確率的な結果)へと近づけるものです。
 
 ローン市場の透明度は、地域ごとでの差異もみられます。MENA諸国はデータの充実度に関する項目の平均スコアが最も低くなりました。ドバイでは、ナキール・グループが2009年にドバイ・ワールドに対して債務不履行に陥り、その後同地域は不動産の資金調達方法の見直しをせまられています。ドバイ・ワールドに関する債務再編案が発表され、過去8年間に渡る著しい建設過剰がもたらした膨大な債務や過剰供給された不動産に政府がどのように対応するのかが示されました。この提案は状況が前進していることを示しているものの、同地域、特にドバイの不動産ローンのほとんどは格下げされています。
 
 不動産ローン市場の透明度は、アジア・パシフィック地域の多くの市場では、合計ローン残高の規模が依然として不透明であり、より詳細なデータの入手も容易ではない場合がほとんどです。オーストラリアでさえ、中核的な情報機関は存在せず、情報はREIT、商業銀行、中央銀行、格付機関等の種々の機関からもたらされています。ただし、アジア・パシフィック地域における商業用不動産ローンに関する情報の不足はヨーロッパや中南米・北米地域ほど問題とはならないと見られます。これはアジア・パシフィック地域の不動産プレイヤーは、一般的に証券化ローン市場ではなく、伝統的な銀行融資を利用するためです。同様に、金融当局による商業用不動産融資の監督が比較的厳しくないことも大きな問題にはつながっておらず、同地域が世界的な金融危機から受けた影響は比較的軽微となっています。

 過去2年間の経緯は、不動産透明度の高さが必ずしも投資家やテナントからリスクを排除するものではないことを明示しています。しかし、透明度の真価は、金融危機後の市場回復の速度を比較した場合に明らかとなると見られます。2年後に次の透明度インデックスを発表する頃には、金融危機発生後の透明度の役割について報告ができるものと思われます。
 
注釈
不動産透明度インデックスは、ラサール インベストメント マネージメント社とジョーンズ ラング ラサール社が共同で行う調査で、世界6大陸の81市場を対象にしています。この不動産透明度インデックスでは、調査対象国、地域を、「投資パフォーマンスの測定」、「マーケットの基礎的データ」、「上場ビークル」、「規制と法制度」、「取引プロセス」といった不動産に関する5つの主要な項目それぞれについて評価し、1( 「透明度“高”」)から5(「透明度“低”」)までの5段階でランク付けしています。また、国ごとに以下の5つに区分しています。 透明度「高」、透明度「中高」、 透明度「中」、透明度「中低」 、透明度「低」。
 
調査/計算方法
2010年不動産透明度調査は、20問の主要な質問から構成され、世界各地の相対的な不動産透明度を客観的に判断しています。20問の質問について、1から5までの選択肢が提供されます。不動産透明度の総合スコアは、1.00から5.00までの段階に分類されており、スコアが「1.00」満点となった国/市場は、総合的な不動産透明度を達成しています。一方、スコアが「5.00」の国/市場は、不動産市場が不透明です。各国/市場は、次の5段階の透明度に分類されます。
高: 総合スコア  1.00–1.49
中高: 総合スコア 1.50–2.49
中: 総合スコア 2.50–3.49
中低: 総合スコア 3.50–4.49
低: 総合スコア 4.50–5.00

ジョーンズ ラング ラサールについて
ジョーンズ ラング ラサール(ニューヨーク証券取引所上場:JLL)は、不動産に特化したプロフェッショナルなサービス会社で、不動産オーナー、テナント、投資家に対し、国内外を問わず世界中で広範囲な知識を有する専門家が、不動産に関するサービスを提供しています。グループの2009年度の売上高は約25 億ドルで、全世界の60 カ国、750都市を網羅する180の事業所で業務を展開しています。 また、プロパティサービス及び企業向けファシリティマネジメントサービスにおける世界のリーディング カンパニーとして、約1 億5,000万平方メートル(約4,500 万坪)の不動産を管理しています。 ジョーンズ ラング ラサール グループにおいて不動産投資・運用を担当するラサール インベストメント マネージメントは、総額約380 億ドルの資産を運用しています。詳細な情報はホームページをご覧下さい。
www.joneslanglasalle.com
ジョーンズ ラング ラサールのアジア太平洋地域での活動は50年以上にわたり、現在では13ヶ国、75 事業所で約18,500名のスタッフを擁しています。